自衛官の若年定年退職者給付金2026|7か月分に引上げ、2回目は一時所得で税と保険料に約130万円

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  • 公開。防衛省の職員の給与等に関する法律(令和8年法律第53号による改正後)・同施行令・若年定年退職者給付金に関する省令、自衛隊法施行令別表第九、防衛省「防衛省設置法等の一部を改正する法律案 概要・要綱」(2026年3月)、内閣官房「自衛官の処遇・勤務環境の改善 参考資料」、防衛人事審議会中間提言(2025年8月)、国税庁タックスアンサー No.1420・1490・2260、江東区の国民健康保険料の計算方法(令和8年度)をもとに作成

自衛官の若年定年退職者給付金(若退金)は、2026年4月1日以降の退職者から水準が上がりました。定年から60歳までの1年につき、俸給月額の6か月分→7か月分です(2027年度8か月分、2028年度以降9か月分)。あわせて「在職20年以上」の要件が、再任用などを合算した通算20年に変わりました[防衛省 法案概要 2026年3月]。

税金は2回で扱いが違います。1回目は退職所得で源泉徴収のみ、2回目は一時所得で確定申告が要ります。2回目を受け取った翌年度は住民税と国民健康保険料も上がるので、使う前に1〜2割を残しておくのが安全です。

結論:曹長・俸給月額42万円なら60歳までの給付は約1,176万円、2回目の税と保険料で約130万円が出ていく

1回目2回目
支給時期退職後最初の4月か10月退職した年の翌々年8月
額(2026年度退職・60歳までの分)俸給月額×2か月×年数俸給月額×5か月×年数
曹長・42万円・56歳定年(4年)の目安約336万円約840万円
減額なし退職翌年の給与収入が多いと減る
所得の区分退職所得(退職手当と合算)一時所得
確定申告不要(源泉徴収で完結)必要
翌年度の住民税・国保料影響なし上がる(一時所得の2分の1が所得に入る)

※額は防衛省の職員の給与等に関する法律第27条の3の算定式(令和8年法律第53号による改正後)から本サイトが計算した概算。年数が4年以上の場合は政令の率(4年で約0.99)がかかるため、実際は1〜2%少なくなります[防衛省の職員の給与等に関する法律]。

制度の中身——定年から60歳までの「空白」を俸給月額の7か月分で埋める

自衛官の定年は一般の公務員より早く、2曹・3曹は55歳、1曹から1尉と准尉・曹長は56歳、2佐・3佐は57歳、1佐は58歳です[自衛隊法施行令 別表第九]。若退金は、この早い定年で生じる不利益を補う政策的な給付で、年金や退職手当とは別物です[内閣官房 自衛官の処遇改善 参考資料]。

  • 対象:自衛官として通算20年以上在職し、定年で退職した人。退職の翌日に常勤の国家・地方公務員になった人は対象外。
  • 60歳までの分:俸給月額(上限は3佐の最高号俸)×(60歳−定年)の年数×か月数。か月数は退職時期で決まる。
  • 60歳以降の分:60歳から一般職員の定年までの年数について、別に3.83か月分(2026年度退職)が支給される。
退職した時期1回目2回目合計(60歳までの1年あたり)
2026年3月まで1.714か月4.286か月6か月分
2026年4月〜2027年3月2か月5か月7か月分
2027年4月〜2028年3月2.286か月5.714か月8か月分
2028年4月以降2.25か月4.5か月+3回目2.25か月9か月分(3回払い)

※改正は2026年7月3日に公布され、2026年4月1日にさかのぼって適用。2026年3月31日以前の退職者は改正前の水準[防衛省 法案要綱]。

2回目は再就職の年収で減る——曹長なら年収426万円を超えると減り始める

2回目は、退職した翌年に「現役を続けていたら得ていた年収(給与年額相当額)」にどれだけ近い収入を得たかで減ります。判定に使うのは事業所得と給与所得を給与収入に換算した額で、年金や不動産所得は入りません[同法 第27条の4]。

曹長・俸給月額42万円・現役なら年収720万円の場合(2026年度退職)

減り始める線=720万円−42万円×7=426万円

ゼロになる線=720万円−42万円×2=636万円

再就職の年収が426万円以下なら2回目は満額。426万円と636万円の間なら比例して減り、636万円以上なら2回目はありません。

再就職賃金の平均は約310万円(内閣官房資料)なので、大半の人は満額です。減額を受けているのは受給者の約10%、全額不支給は1%未満です[防衛人事審議会 中間提言 2025年8月]。

退職翌年に民間で高い年収を得る見込みがある人は、賞与の支給月をずらすだけでも判定が変わります。退職翌年の年収がどの線にあるかを、再就職先の条件が決まった時点で確かめてください。

税金——1回目は申告不要、2回目は一時所得で約1割が税と保険料に消える

1回目は退職手当と合算して退職所得として源泉徴収されるので、手続きは要りません。退職所得控除(勤続20年超は800万円+70万円×(勤続年数−20年))と2分の1課税が効くため、税負担はごくわずかです[国税庁 No.1420 退職所得]。退職金の計算は退職金の税金計算で解説しています。

2回目は一時所得です。防衛省から「自衛官若年定年退職者給付金の支払調書」が届き、税務署にも同じものが送られます。一時所得は「収入−50万円」の2分の1を給与などと合算して課税するため、給与所得者でも確定申告が必要です[国税庁 No.1490 一時所得]。東京国税局が税理士向けに示す「誤りやすい事例集」でも、この支払調書の額を退職所得として申告してしまう誤りが挙げられています。

2回目840万円(政令の率を掛けて約829万円)を2028年に受け取り、同年の再就職の年収が310万円の場合

一時所得の課税対象=(829万円−50万円)×1/2=約390万円

給与所得約209万円と合算すると合計所得は約599万円。基礎控除と社会保険料控除を引いた課税所得は約490万円で、所得税率は20%です。

給付金が無ければ所得税は約4万円。給付金を足すと約56万円になり、差の約53万円が2回目にかかる所得税です(復興特別所得税を含む概算)。

翌年度の住民税は約390万円×10%=約39万円増え、国民健康保険なら所得割も約390万円を基礎に計算されます。合計で約130万円、2回目の約16%が出ていく計算です。

※本サイトの試算。基礎控除は2026年分以降の額、社会保険料控除は45万円と仮定。国保料は料率10%・上限なしで概算しており、自治体と世帯構成で変わります。

  • 国民健康保険料:所得割の基礎になる「総所得金額等」に一時所得の2分の1が入ります。退職所得は入りません[江東区 国民健康保険料の計算 令和8年度]。再就職先の健康保険に入っていれば影響はありません。計算の仕組みは国民健康保険料の計算で確認できます。
  • 住民税の所得割で決まる制度:高校の就学支援金や自治体の医療費助成の所得判定も、その1年だけ上がります。
  • 確定申告の時期:2回目を受け取った翌年の2月16日〜3月15日。源泉徴収は無いので、所得税は申告後に一括で納めます。手取りから1〜2割は残しておいてください。

定年退職の年の申告全般は転職・退職時の税金と手続きに整理しています。

今後の予定——2028年度から3回払いと「就労活躍加算」、定年も2歳ずつ延びる

  • 2028年4月以降の退職者は9か月分になり、2回目が「2回目4.5か月+3回目2.25か月」の3回払いに変わります。減額の計算も新しい方式に移ります。
  • 再就職して働き続ける人への「就労活躍加算」が同時に始まります。細部は政令待ちです。
  • 自衛官の定年そのものも、2028〜2032年度に各階級で2歳ずつ引き上げる方針が示されています。定年が延びれば60歳までの年数が減り、若退金の総額は小さくなる方向です[防衛人事審議会 中間提言]。

退職金全体の手取りは退職金の税金・手取り早見、退職所得控除の見直し議論は退職金増税はどうなる?で追っています。

まとめ

  • 2026年4月以降の退職者から、60歳までの給付が1年あたり俸給月額の6か月分から7か月分に上がった(2027年度8か月分、2028年度以降9か月分)
  • 曹長・俸給月額42万円・56歳定年なら、60歳までの分は1回目約336万円+2回目約840万円
  • 2回目は退職翌年の給与収入で減額判定。曹長の例では426万円を超えると減り始め、636万円以上でゼロ
  • 1回目は退職所得で申告不要。2回目は一時所得で確定申告が必要
  • 2回目を受け取った翌年度は住民税と国保料が上がり、例では税と保険料で約130万円。手取りの1〜2割は残しておく

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公開日:2026年10月04日 / 執筆:みんなの税金 編集部

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