国税の滞納9,935億円、半分超は消費税|令和7年度の税目別データと払えないときの猶予・延滞税

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  • 公開。国税庁「令和7年度租税滞納状況の概要」(令和8年8月)・同令和5年度版・令和6年度版、国税庁タックスアンサーNo.9205・No.9206・No.6101、「延滞税の割合」「猶予の申請の手引」「納税の猶予制度FAQ」、国税徴収法基本通達第47条関係、財務省「延滞税・利子税・還付加算金について」、e-Tax「ダイレクト納付」「予納制度」、法令検索(国税通則法)をもとに作成

令和7年度に新しく発生した国税の滞納は9,935億円でした。そのうち消費税が5,172億円で、半分を超えます(52.1%)。国税庁が2026年8月に公表した「令和7年度租税滞納状況の概要」の数字です[国税庁 令和7年度租税滞納状況の概要]。

払えないと分かった時点で、納期限までに「換価の猶予」を申請するのが最善手です。認められれば分割で払え、延滞税は令和8年の割合で年9.1%から年1.3%まで下がります[財務省 延滞税・利子税・還付加算金について]。この記事では、滞納のデータと、督促状から差押えまでの流れ、猶予の申請手順をまとめます。

結論:新規の滞納は9,935億円で横ばい、残高は9,847億円に増えた

項目(令和7年度)金額前年度との比較
徴収決定済額(申告などで課税された額)89兆7,949億円+10.6%
新規発生滞納額9,935億円+10億円(+0.1%)
滞納発生割合1.1%約98.9%は期限内に納付
整理済額(納付・差押えなどで片付いた額)9,802億円+315億円(+3.3%)
年度末の滞納残高9,847億円+133億円(+1.4%)
うち新規発生の消費税5,172億円−2.4%(新規の52.1%)

※国税庁資料の数値。地方消費税は含まない(地方消費税の新規発生滞納は別に1,458億円)。前年度比は資料の括弧内の数値から計算。

新規の滞納額は、ピークだった平成4年度(1兆8,903億円)の約5割です。残高もピークの平成10年度(2兆8,149億円)の約3割まで減っています。ただし令和6年度に新規が24.1%増えて、その水準がほぼ続いています。

ここでいう「滞納」は、納期限までに払われず督促状が出たものを指します。督促状が届いた時点で、すでにこの統計に入っているということです。

何が滞納されているのか——新規の半分超は消費税、残高は所得税と並ぶ

新規発生の滞納は、消費税、申告所得税、法人税の順に多くなっています。残高で見ると、消費税と申告所得税がほぼ同じ大きさです。

税目新規発生滞納額前年度比年度末の滞納残高前年度比
消費税5,172億円−2.4%3,893億円−1.6%
申告所得税2,146億円+10.8%2,845億円+5.1%
法人税1,456億円−10.5%1,380億円+4.7%
相続税613億円+24.8%506億円+1.5%
源泉所得税397億円−2.2%1,104億円−2.3%
その他152億円−8.5%120億円+14.2%
合計9,935億円+0.1%9,847億円+1.4%

※国税庁資料7頁「主要税目別の租税滞納状況」。所得税は源泉と申告の合計で新規2,543億円・残高3,948億円。四捨五入のため合計が一致しない場合がある。

  • 消費税は徴収決定済額26兆5,657億円のうち約1.9%が滞納になった計算です(本サイト試算)。
  • 申告所得税は新規が1割増えました。個人事業主やフリーランスの確定申告分が中心です。
  • 相続税は新規が約25%増えました。現金が少なく不動産が多い相続で起きやすい滞納です。
  • 源泉所得税は給与から天引きした税を会社が納めるものです。新規は小さいのに残高が1,104億円と大きく、片付くのに時間がかかっています。

新規の滞納は3年で約1.4倍——令和6年度の急増がそのまま続いている

令和4年度から令和7年度までの新規発生滞納額を並べると、令和6年度に大きく増えています。令和7年度はその高い水準で横ばいでした。

年度全税目うち消費税うち法人税
令和4年度7,196億円3,630億円956億円
令和5年度7,997億円4,383億円1,001億円
令和6年度9,925億円5,298億円1,627億円
令和7年度9,935億円5,172億円1,456億円

※国税庁「租税滞納状況の概要」令和5年度版・令和6年度版・令和7年度版の各7頁から本サイト作成。

令和4年度から見ると、全体は約1.38倍、消費税は約1.42倍です。この間には物価の上昇で売上や税額そのものが増えたことも含まれます。徴収決定済額に対する割合(滞納発生割合)は1.1%で、国税庁は「低水準で推移」としています。国全体の税収の動きは税収データで見られます。

なぜ消費税の滞納が多いのか——預かったお金が運転資金に溶ける構造

消費税は、事業者が売上と一緒に受け取り、あとでまとめて納める税です。国税庁も「事業者に負担を求めるものではない」と説明しています[国税庁 タックスアンサーNo.6101]。ところが口座の中では、売上と区別されずに混ざります。

  • 納付が年1回にまとまる。個人事業者の確定申告の期限は翌年3月31日です。1年分がまとめて出ていきます。
  • 赤字でも納税額が出る。所得税や法人税と違い、利益ではなく売上と仕入れの差で決まります。人件費は仕入れに入らないので、人手をかける商売ほど重くなります。
  • 預かった分を仕入れや給料に回してしまう。手元の現金が足りないとき、口座に残っている消費税分が最初に使われやすくなります。
  • 新しく課税事業者になった人がいる。2023年10月のインボイス制度の開始で、それまで免税だった小規模事業者の登録が増えました。資料は原因を分けて示していませんが、消費税の新規滞納が増えた時期と重なります。

インボイス登録した個人事業者の負担を軽くしてきた2割特例も、令和8年分で終わります。その後の選び方はインボイス2割特例の終了にまとめました。

督促状から10日で差押えができる状態に——止められるのは猶予の申請

国税は、納期限を1日でも過ぎると延滞税がかかり始めます。督促状が出てから10日たつと、法律上は財産を差し押さえられる状態になります。

  1. 納期限の翌日から延滞税がかかる。最初の2か月は年2.8%、そのあとは年9.1%です(令和8年中の割合)[国税庁 タックスアンサーNo.9205]。
  2. 納期限から50日以内に督促状が届く。国税通則法第37条の定めです。この時点で統計上の「滞納」になります。
  3. 督促状を出した日から10日を過ぎると差押えができる。預金、売掛金、給与、不動産などが対象です[国税庁 国税徴収法基本通達 第47条関係]。
  4. 電話や文書での催告が続く。納税コールセンターが1年で114万8,000者に電話し、72.2%が完納、10.1%が納付の約束をしています。
  5. 差し押さえた財産は公売にかけられる。売れた代金が滞納している税に充てられます。

実際には、督促のあとすぐに差し押さえられる例ばかりではありません。国税庁の資料では、発生した滞納の約3分の2がその年度のうちに整理されています。ただし、連絡を返さないまま放置すると、差押えに進むのは時間の問題です。

放置と猶予で延滞税はいくら違うか——消費税60万円の試算

同じ額を同じ期間払えなかった場合でも、猶予を受けていれば延滞税は6分の1ほどになります。

個人事業主の消費税60万円、納期限2026年3月31日、12月31日まで払えなかった場合(275日)

放置:60万円×2.8%×61日/365+60万円×9.1%×214日/365=約3万4,800円

猶予:60万円×1.3%×275日/365=約5,800円

差は約2万9,000円です。猶予中は毎月分割で払うので残高が減り、実際の延滞税はさらに少なくなります。延滞税は100円未満切り捨て(本サイトの概算)。

猶予中の割合は「猶予特例基準割合」と呼ばれ、令和8年は年1.3%です(令和7年は0.9%)[財務省 延滞税・利子税・還付加算金について]。災害や病気による納税の猶予なら、延滞税は全額免除されます。延滞税は本税だけにかかり、加算税にはかかりません。

確定申告の期限そのものに遅れた場合は、無申告加算税も加わります。口座振替の残高不足で落ちなかったときの扱いは振替納税の振替日と残高不足で説明しています。

払えないときは「換価の猶予」か「納税の猶予」——違いは理由の有無

事業の資金繰りが苦しいだけなら換価の猶予、災害や病気、大きな損失が理由なら納税の猶予を選びます。どちらも原則1年、毎月の分割払いになります[国税庁 タックスアンサーNo.9206]。

換価の猶予納税の猶予
使える場面一度に払うと事業や生活が続けられない災害・盗難、本人や家族の病気、休廃業、著しい損失など
申請期限納期限から6か月以内理由が生じたら速やかに(1年以上前の税額が修正申告などで確定した場合は納期限まで)
その他の要件納税への誠実な意思、他の国税の滞納がないその事実のために一度に払えない
期間原則1年以内(延長して最長2年)。毎月の分割払い
延滞税年1.3%に軽減(令和8年)全額免除または年1.3%に軽減
担保原則必要。100万円以下、3か月以内、担保にできる財産がない場合は不要

申請の手順は次のとおりです。書類は国税庁の「猶予の申請の手引」にそろっています[国税庁 猶予の申請の手引]。

  1. 税務署の徴収担当に電話する。払えない額と、毎月いくらなら払えるかを伝えます。
  2. 申請書と財産収支状況書を作る。100万円を超える場合は、財産目録と収支の明細書に分かれます。
  3. 納期限までに提出する。e-TaxならスマートフォンのWEB版から出せます。
  4. 許可通知の分割計画どおりに払う。延滞税の軽減は、許可の日ではなく申請の日から適用されます。

納期限を過ぎてから申請すると、納期限の翌日から申請の前日までは延滞税が軽くなりません[国税庁 納税の猶予制度FAQ 問24・問31]。黒字の事業者でも、要件を満たせば猶予は受けられます。

猶予が使えない・取り消される場合——申請前に確かめたい注意点

猶予は、申請すれば必ず通る制度ではありません。次のような場合は、許可されないか、途中で取り消されることがあります。

通りやすい状態

  • 納期限までに申請している
  • ほかの国税の滞納がない
  • 毎月の返済額に根拠がある(収支の明細で示せる)
  • 税務署からの連絡に返事をしている

つまずきやすい状態

  • 納期限から6か月を過ぎた(申請による換価の猶予は使えない)
  • 以前の年度の滞納が残っている
  • 分割の約束を守れなかった(猶予の取消しや期間の短縮)
  • 財産を隠す、名義を移すなどの行為(告発の対象)
  • 期限を過ぎても相談の余地はある。税務署長の職権による猶予を検討してもらえる場合があります。
  • 延滞税はゼロにならない。換価の猶予でも年1.3%はかかります。
  • 地方税と社会保険料は別の窓口。住民税や事業税は自治体、厚生年金保険料は日本年金機構に相談します。
  • 融資の審査に響く。未納があると「未納税額がない」ことの納税証明書が取れません。金融機関との順番は税金の滞納と赤字決算で融資はどうなるを参考にしてください。

国税庁は令和7年度に、財産を隠した9件(14人・社)を滞納処分免脱罪で告発しています。払えないこと自体ではなく、隠すことが厳しく扱われます。

来年の消費税で滞納しないために——予納と引き落としで先に分けておく

いちばん確実なのは、預かった消費税を毎月別の場所に移しておくことです。国税庁も資料の中で「予納ダイレクト」を消費税の計画的な納税に勧めています。

  • 予納ダイレクト。e-Taxに登録した口座から、決めた日に決めた額を前払いできます。課税期間中に分けて払えます[e-Tax よくある質問]。
  • ダイレクト納付。e-Taxで申告したあと、口座から即時または期日を指定して引き落とせます。期日は納期限まで指定できます[e-Tax ダイレクト納付]。
  • 振替納税。指定の振替日に自動で引き落とされます。個人の消費税は4月下旬の振替で、延滞税がかからない期間が少し延びます。
  • 中間納付。前年の消費税が48万円を超えると、年の途中で分けて納めます。仕組みは消費税の中間納付の回数と時期で整理しました。

クレジットカードやスマホ決済での納付もあります。手数料の比較は税金のキャッシュレス納付で見られます。

まとめ

  • 令和7年度の新規の国税滞納は9,935億円で横ばい。半分超の5,172億円が消費税
  • 督促状から10日で差押えができる状態になる。放置せず税務署の徴収担当に連絡する
  • 払えないときは納期限までに「換価の猶予」を申請。延滞税は年9.1%から年1.3%に下がり、原則1年の分割払い
  • 消費税60万円を9か月遅れで払う例では、放置約3万4,800円に対し猶予なら約5,800円
  • 来年の消費税は予納ダイレクトや毎月の取り分けで先に分けておく

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公開日:2026年10月01日 / 執筆:みんなの税金 編集部

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