OTC類似薬の特別の料金は2027年3月から|湿布・花粉症薬・保湿剤で年いくら増えるか

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  • 公開。厚生労働省 第216回社会保障審議会医療保険部会資料(2026年9月16日)・第213回同部会資料(2026年8月27日)・中医協 総2-2(2026年9月16日)・別途の負担の対象となる医療用医薬品の品目の一覧・薬価基準収載品目リスト(2026年8月13日適用)、国税庁タックスアンサー No.1122・No.1129 をもとに作成

2027年3月から、市販薬と同じ成分の処方薬(OTC類似薬)を出してもらうと、いつもの窓口負担に加えて薬剤費の4分の1を「別途の負担」として払います。対象は77成分・1,042品目で、ロキソプロフェンの湿布、フェキソフェナジンなどの花粉症薬、ヘパリン類似物質の保湿剤、酸化マグネシウムの便秘薬が入っています[厚生労働省 医療保険部会とりまとめ 2026年9月16日]。保険が外れるのではなく、保険は残ったまま上乗せがかかる仕組みです。

3割負担の人が湿布を月60枚、保湿ローションを月200g使い続けると、増えるのは年およそ5,000円です(本サイトの試算)。1割負担の高齢者ほど増え方が大きく、同じ使い方で年6,000円を超えます。18歳年度末までの子ども、生活保護の医療扶助、がん・指定難病の治療、入院中などは払わずに済みます。数字は2026年9月時点の決定内容で、告示・通知で細部が変わることがあります。

結論:湿布・花粉症薬・保湿剤で、3割負担なら月50〜240円の上乗せ

処方の例(後発品の薬価)今(3割)2027年3月から増える額年に直すと
ロキソプロフェンテープ100mg 月60枚約330円約520円+約190円約2,300円
フェキソフェナジン60mg 1日2錠・30日約360円約600円+約240円花粉の2か月で約480円
ヘパリン類似物質ローション 月200g約380円約600円+約220円約2,700円
酸化マグネシウム330mg 1日3錠・30日約180円約230円+約50円約600円
ロキソプロフェン錠60mg 1日3錠・5日約45円約70円+約25円—

※薬価は厚生労働省「薬価基準収載品目リスト」(2026年8月13日適用)。計算方法は中医協資料(2026年9月16日)の式を本サイトが当てはめた概算で、薬剤の部分だけの金額です。診察料・調剤料などの技術料は含みません。窓口では合計を10円単位で丸めるため、数十円ずれます[中医協 総2-2 計算方法のイメージ]。

いつもの薬は対象か——77成分のうち処方が多いもの

対象は「市販薬と成分・使い方(飲む・貼る・塗るなど)が同じで、1日の最大量も同じ処方薬」です。厚生労働省が機械的に選んだ77成分で、商品名ではなく成分名で決まります[厚生労働省 医療保険部会資料 2026年8月27日 3頁]。先発品も後発品も同じ扱いです。

よく処方される場面対象になる成分(一般名)
腰痛・肩こりの湿布、塗り薬ロキソプロフェン(テープ・パップ・ゲル)、ジクロフェナク、フェルビナク、インドメタシン
解熱・痛み止めの飲み薬ロキソプロフェン(錠)、イブプロフェン
花粉症・鼻炎の飲み薬、点鼻薬フェキソフェナジン、ロラタジン、エピナスチン、ベポタスチン、モメタゾン(点鼻)
乾燥肌・ひび割れの保湿剤ヘパリン類似物質、尿素、白色ワセリン
便秘薬酸化マグネシウム、ピコスルファートナトリウム、ビサコジル
せき・たんの薬L-カルボシステイン
水虫の塗り薬テルビナフィン、ミコナゾール、クロトリマゾールなど
湿疹のステロイド外用薬ベタメタゾン吉草酸エステル、ヒドロコルチゾン酪酸エステルなど
眠れないときの薬ラメルテオン(2026年8月に追加)

※77成分の全体と約1,000品目の商品名は、厚生労働省「別途の負担の対象となる医療用医薬品の品目の一覧」で確かめられます[厚生労働省 品目一覧]。

逆に、よく処方される薬でも入っていないものがあります。見落としやすい例は次のとおりです。

  • アセトアミノフェンの単剤は77成分に無い(入っているのは総合かぜ薬の配合剤だけ)
  • 市販薬が無い成分や、市販薬より1日量が多い処方薬は対象外
  • 同じ成分でも、市販薬に無い使い道で処方されると対象外(次の節)

自分の薬の成分名は、お薬手帳か薬局の薬剤情報提供書で確かめられます。マイナ保険証で受診している人は、マイナポータルの薬剤情報でも見られます(マイナ保険証)。

同じ成分でも対象外になる——市販薬に無い使い道で処方された場合

判定は成分だけでなく、何のために処方されたかでも分かれます。市販薬の説明書に書かれている使い道と重なる処方だけが対象で、重ならなければ別途の負担はかかりません[同 7頁]。

別途の負担がかかる処方

  • フェキソフェナジンをアレルギー性鼻炎に
  • ヘパリン類似物質を皮脂欠乏症(乾燥肌)や打撲後の腫れに
  • ロキソプロフェンの湿布を腰痛・肩こりに

かからない処方

  • フェキソフェナジンをじんましんや湿疹・アトピー性皮膚炎のかゆみに
  • ヘパリン類似物質を血栓性静脈炎・血行障害の痛みや、乳児の筋性斜頸に
  • その他、市販薬の説明書に無い病名での処方

対象かどうかは医師が処方箋に書きます。処方箋に「一部保険外療養」の欄が新しくでき、対象なら「○」、対象外なら「ー」が付きます[中医協 総2-2 2頁]。薬局はその印に沿って別途の負担を受け取ります。

別途の負担はどう計算するか——4分の1を切り出し、残りに1〜3割

計算は2段です。先に薬の価格の4分の1を「別途の負担」として切り出し、残り4分の3にいつもの負担割合をかけます。

厚生労働省が示した計算例(薬価16.50円の錠剤・1日2錠・30日・3割)[中医協 総2-2 3頁]

別途の負担 + 残り4分の3の自己負担 = 窓口の額

  • 別途の負担:4.13円 × 60錠 = 247.8円 → 250円(1の位を四捨五入)
  • 残り4分の3:12.38円 × 2錠 = 1日2点 × 30日 = 600円 → 3割で180円
  • 合計430円。今は900円の3割で270円なので、160円増える(本サイトの計算)

ポイントは、4分の1の部分に負担割合がかからないことです。保険から出ない部分なので、1割の人も3割の人も同じ額を払います。

  • 別途の負担に消費税がかかるかは「政府内で検討中」です。後発品のある先発品を希望したときの特別の料金には、消費税がかかっています
  • 2027年3月からは、先発品を希望したときの特別の料金も同じく「差額の2分の1 × 全量」で計算する方式に変わります
  • 先発品の希望と重なる場合は、OTC類似薬の別途の負担だけを払い、先発品の特別の料金は求められません

1割負担の人ほど増え方が大きい——70歳以上・75歳以上は要注意

増える額は、負担割合が低い人ほど大きくなります。4分の1の部分が全員同額で、下がるのは残り4分の3の部分だけだからです。

処方の例(1か月)3割2割1割
ロキソプロフェンテープ100mg 60枚327円→516円(+189円)218円→434円(+216円)109円→352円(+243円)
フェキソフェナジン60mg 1日2錠360円→600円(+240円)240円→510円(+270円)120円→420円(+300円)
ヘパリン類似物質ローション 200g378円→602円(+224円)252円→508円(+256円)126円→414円(+288円)
酸化マグネシウム330mg 1日3錠180円→230円(+50円)120円→200円(+80円)60円→170円(+110円)

※後発品の薬価(2026年8月13日適用)に中医協資料の計算方法を当てはめた本サイトの概算。窓口の端数処理前の額。

1割負担の人が湿布60枚と保湿ローション200gを毎月続けると、上乗せは月531円、年6,372円です。薬の窓口負担は今の約3倍になります。自分が何割負担かは、75歳からの後期高齢者医療制度で所得の線引きを確かめてください。後期高齢者は、配当などの金融所得も窓口の割合の判定に入るよう法律が変わりました(後期高齢者医療に金融所得が反映される時期)。

払わなくてよい人・場面——子ども、生活保護、がん・難病の治療、入院

別途の負担を求めない範囲は、2026年9月16日の医療保険部会で固まりました[厚生労働省 医療保険部会とりまとめ 8頁]。人で決まるものと、場面で決まるものがあります。

区分対象外になる範囲それでも払う場合
子ども18歳に達した日以後の最初の3月31日まで—
低所得生活保護で医療扶助を受ける人住民税非課税世帯は対象外にならない
がんがんの治療と、その副作用・緩和ケアへの使用がんと関係のない花粉症・水虫・便秘・風邪・腰痛、治療終了後の経過観察
指定難病指定難病とそれに付随する病気への使用(医療費助成の有無を問わない)難病と関係のない症状
国の公費負担医療自立支援医療などを使う受診自治体独自の医療費助成だけの人
入院入院中と退院時の処方—
処置・手術・検査抜歯後の痛み止めなど、処置の日に新たに出た14日分まで処置の前からあった症状、14日分を超える処方
妊娠・授乳市販薬の説明書で「服用しないこと」とされる妊婦・授乳婦への処方—

見落としやすいのは低所得の扱いです。検討の入口では「低所得者」とされていましたが、成案では生活保護受給者だけが対象外になりました[同部会資料 2026年8月27日 14頁]。住民税非課税世帯の医療費の軽減は高額療養費などで別にあるので、非課税世帯の給付・減免一覧もあわせて見てください。

指定難病の確認は、特定医療費受給者証か登録者証が原則です。2027年度末までは、ほかの客観的な書類での確認も認められます。

通年で使う薬は対象外にできる——内服は6か月の実績、外用はアトピーが軸

医師が「1年を通じた使用が医療上必要」と判断した場合も、別途の負担はかかりません。飲み薬と塗り薬・貼り薬で基準が違います[同とりまとめ 4〜5頁・8頁]。

  • 飲み薬:年間の処方がおおむね50週(1年)なら対象外。少なくとも6か月程度の使用実績があり、医師が今後も通年で必要と判断すれば、50週に届く前でも対象外にできる
  • 塗り薬・貼り薬:アトピー性皮膚炎へのヘパリン類似物質・尿素の通年使用と、プロアクティブ療法としてのステロイド外用薬は対象外
  • 経過措置:重度の変形性膝関節症への湿布と、アトピー以外の重い皮膚症状への保湿剤は、2028年度末まで対象外。その後は診療ガイドラインを見て見直す
  • 初めて受診する人は、最初の半年は原則として対象。半年以内に治療が終わる見込みなら、そのまま対象

通年で飲んでいる鼻炎薬や便秘薬がある人は、2027年3月までに主治医へ「通年で必要な薬か」を確認しておく価値があります。お薬手帳は、転院したときに過去の使用実績を示す材料にもなります。

向かない人・注意点——市販薬に切り替えても安くなるとは限らない

「追加でかかるなら市販薬で済ませよう」は、薬代だけ見れば多くの場合で割高です。厚生労働省自身の試算でも、別途の負担を払ったあとの処方薬の方がまだ安くなっています[同とりまとめ 8頁]。

薬(厚生労働省の例)今(3割)2027年3月から市販薬(ネット最安)
解熱鎮痛薬 5日分50円70円約500円
去痰薬 5日分50円70円約1,500円
便秘薬 30日分360円550円約2,000円
抗アレルギー薬 30日分540円790円約1,000円

※厚生労働省の例示。処方薬は薬剤の部分だけで、初診料・再診料・調剤料などの技術料は別にかかります。

一方、受診には診察料や調剤料、通院の時間がかかります。薬代の差だけで決めず、次の点で判断してください。

  • 症状が初めて・いつもと違う:受診が先。市販薬で様子を見て受診が遅れるのは避ける
  • 同じ薬を長く使う:通年使用の対象外になる余地があるので、まず主治医に相談
  • ほかに飲んでいる薬がある:市販薬に替えると飲み合わせの確認が手薄になる。薬剤師に処方薬の一覧を見せる
  • 上乗せに月の上限は無い:別途の負担は保険外なので、高額療養費の計算にも入らない見込み(施行時の通知で確認)

制度の今後にも注意が要ります。政府は2027年度以降、対象成分の拡大と4分の1という割合の引き上げを検討するとしています[同部会資料 21頁 大臣折衝事項]。医療費の窓口負担の上限は高額療養費制度で確かめられますが、この上乗せはそこに含まれない前提で家計を見ておくのが安全です。

医療費控除とセルフメディケーション税制はどうなるか

年間の医療費が10万円を超える家庭では、別途の負担が医療費控除に入るかが気になります。2026年9月時点で、国税庁・厚生労働省はまだ明示していません。

  • 先発品を希望したときの特別の料金は、厚生労働省の疑義解釈(2025年3月)で医療費控除の対象と整理されている
  • OTC類似薬の別途の負担も治療に必要な薬の代金の一部だが、同じ扱いになるかは施行時の通知・Q&Aを待つ必要がある
  • 先発品の特別の料金はマイナポータルの医療費通知に載らない。別途の負担も載らない可能性があるので、薬局の領収証を捨てない

市販薬に切り替えた分は、治療のための購入なら医療費控除に入れられます。レシートに印がある市販薬ならセルフメディケーション税制も選べます。年1万2,000円を超えた部分が控除され、上限は8万8,000円です[国税庁 No.1129]。2つは選択制なので、どちらが得かは申告前に比べてください。医療費控除の範囲と計算は医療費控除の計算方法にまとめています。

今日やること

  1. お薬手帳を開き、いつも出ている薬の成分名を上の表と照らし合わせる。
  2. 1年を通じて使っている薬があれば、次の受診で「通年で必要な薬か」を主治医に聞いておく。
  3. 薬局の領収証を年単位でまとめて保管し始める(医療費控除の判断材料になる)。

よくある質問

子ども医療費助成で窓口0円の子どもはどうなりますか。

18歳に達した日以後の最初の3月31日までの子どもは、別途の負担の対象外です。自治体の助成とは関係なく、国の制度として対象外になります。

まとめ

  • 2027年3月から、市販薬と同じ成分の処方薬は窓口負担に加えて薬剤費の4分の1を別途負担する
  • 対象は77成分・1,042品目。ロキソプロフェンの湿布、フェキソフェナジン、ヘパリン類似物質、酸化マグネシウムなど
  • 4分の1の部分は負担割合にかかわらず同額のため、1割負担の人ほど増え方が大きい
  • 18歳年度末までの子ども、生活保護の医療扶助、がん・指定難病の治療、入院中などは対象外
  • 通年で使う薬は対象外にできる場合がある。お薬手帳で成分名を確かめ、主治医に確認する

参考リンク(出典)

本記事は2026年9月時点の決定内容をもとにした一般的な情報提供です。告示・通知で細部が変わることがあります。自分の処方が対象かは医師・薬剤師に、医療費控除の扱いは税務署や税理士に確認してください。

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最終更新:2026年09月29日 / 公開日:2026年10月04日 / 執筆:みんなの税金 編集部

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