不動産投資の税金と確定申告|経費・減価償却・損益通算の活用法
不動産投資(賃貸経営)で得た収入は「不動産所得」として確定申告が必要です。多くの経費を計上でき、特に「減価償却費」という現金が出ていかない経費を使って帳簿上の赤字を作り、給与所得と相殺(損益通算)できることが大きな特徴です。
不動産所得の計算式
総収入には家賃・礼金(返還しないもの)・共益費・駐車場代などが含まれます。
不動産所得で計上できる主な経費
固定資産税・都市計画税
毎年1月1日時点の不動産に課税される税金は全額経費になります。
管理費・修繕費
管理会社への手数料(家賃収入の5〜10%程度)と修繕費は全額経費。ただし資産価値を高める大規模リフォームは「資本的支出」として減価償却が必要。
火災・地震保険料
賃貸物件にかける保険料は全額経費(長期前払いの場合は按分)。
ローン利息(利子のみ)
住宅ローン・アパートローンの利子部分のみが経費です。元本の返済は経費になりません。
減価償却費(最重要)
建物の取得価額を耐用年数にわたって毎年経費計上できます。現金は出ていかないのに経費にできる最大の特徴です。
その他の経費
税理士費用・広告費(入居者募集)・不動産所得に関係する交通費・通信費なども按分経費になります。
減価償却費の計算
木造:22年 / 鉄骨造(3〜4mm以下):19年 / 鉄骨造(4mm超):34年 / 鉄筋コンクリート(RC):47年
法定耐用年数を超えた中古物件:法定耐用年数 × 20%(最低2年)
法定耐用年数内の中古物件:(法定耐用年数 − 経過年数)+ 経過年数 × 20%
耐用年数(簡便法):22年 × 20% = 4年
年間減価償却費:1,000万円 ÷ 4年 = 250万円(現金の出費なし)
家賃収入240万円 − 減価償却費250万円 = 不動産所得▲10万円 → 給与所得と損益通算できる
損益通算で給与所得税を取り戻す
不動産所得が赤字になると、給与所得と損益通算して所得税・住民税を節税できます。
損益通算後の所得:700万円
節税額(所得税率23%+住民税10%):100万円 × 33% = 33万円の節税
・土地購入のためのローン利子(建物部分のみ通算可)
・生活に使用している部分の経費
・別荘など「業務」でない不動産
不動産を売却したときの税金(譲渡所得)
⚠️ 所有期間5年以下(短期譲渡)
所得税30%+住民税9%=合計39%の税率。負担が非常に重い。
✅ 所有期間5年超(長期譲渡)
所得税15%+住民税5%=合計20%(復興特別所得税を含め所得税15.315%)。5年超保有で約半分になる。
※短期・長期の判定は「売却した年の1月1日時点」での所有期間で行います。取得から実際に5年経っていても、売却年の1月1日時点で5年以下なら短期譲渡になる点に注意(実質的に足かけ6年の保有が必要)。
毎年の減価償却費を計上すると、建物の「取得費」が下がります。売却時には「取得費(減価償却後)」と売却価格の差が譲渡所得になるため、長期間の減価償却後に売却すると大きな税負担が発生します。
青色申告の活用
不動産所得でも青色申告を選択できます(開業届と青色申告承認申請が必要)。5棟10室未満の場合は10万円控除のみです。また、不動産所得の赤字(損益通算しきれない部分)を翌年以降3年間繰り越すことができます。
まとめ
よくある質問
会社員でも不動産所得の確定申告は必要?
給与以外の所得(不動産所得など)が年20万円を超える会社員は確定申告が必要です。赤字で損益通算して還付を受ける場合も申告します。
減価償却で赤字にすると本当に節税になる?
減価償却は現金支出を伴わない経費なので、帳簿上の赤字を給与所得と損益通算して所得税・住民税を減らせます。ただし売却時は取得費が下がっている分、譲渡所得が増える点に注意が必要です。
青色申告の65万円控除は誰でも使える?
不動産所得で65万円・55万円控除を受けるには「事業的規模(おおむね5棟10室以上)」かつ複式簿記+電子申告等が必要です。規模に満たない場合は10万円控除です。
売却の長期・短期はどう判定する?
売却した年の1月1日時点で所有期間が5年超なら長期(税率約20%)、5年以下なら短期(約39%)です。1月1日基準のため、実質は足かけ6年の保有が目安です。
参考リンク(出典)
本記事は次の国税庁の公表資料をもとに作成しています(中立・一次情報)。耐用年数・税率等は改正される場合があるため、申告前に最新の内容をご確認ください。青色申告の詳細は青色申告と白色申告もご覧ください。
- 国税庁 No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)
- 国税庁 No.2100 減価償却のあらまし
- 国税庁 No.1391 不動産所得が赤字のときの他の所得との通算
- 国税庁 No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)
- 国税庁 No.3211 短期譲渡所得と長期譲渡所得の税額の計算
※本記事は一般的な情報提供であり、税務・投資の助言ではありません。個別の判断は税務署・税理士にご相談ください。
