高校生の扶養控除38万円は減らない|令和10年度分まで維持、25万円なら年3〜6万円の増税試算

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  • 公開。国税庁 No.1180・令和8年分 給与の源泉徴収事務、財務省 令和6年度/令和8年度税制改正の大綱、総務省 令和8年度地方税制改正の留意事項、文部科学省 就学支援金資料をもとに作成

高校生の子がいる家庭の扶養控除は、いまも38万円のままです。25万円へ減らす案は2度先送りされました。令和9年分の所得税と令和10年度分の住民税まで、現行制度の維持が決まっています。2026年と2027年の年末調整で控除が減ることはありません。ただし議論そのものは終わっていません。仮に縮小されれば、増税は年2万7,600円から6万4,800円です。まずは令和8年分の扶養控除等申告書で、子の欄が従来どおりかを確かめてください。

結論:令和10年度分の住民税まで38万円と33万円のまま

高校生年代(その年12月31日時点で16歳以上19歳未満)の子は、一般の控除対象扶養親族です。控除額は所得税38万円、個人住民税33万円[国税庁 No.1180][総務省]。維持が決まっている範囲を整理します。

年分(所得税)/年度(住民税)所得税住民税根拠
令和7年分(2025年)/令和8年度分38万円33万円現行法
令和8年分(2026年)/令和9年度分38万円33万円令和7年度大綱で維持
令和9年分(2027年)/令和10年度分38万円33万円令和8年度大綱で維持
令和10年分(2028年)以降未定未定引き続き検討

出典:総務省の事務連絡(令和8年1月21日)[総務省]。与党大綱の検討事項を引き、令和9年分の所得税と令和10年度分の個人住民税の維持を明記しています。

国税庁も令和8年4月1日現在の法令として38万円を掲げたままです[国税庁 No.1180]。制度全体は扶養控除の完全ガイドにまとめています。

25万円案は「目指す」で止まり、2度先送りされた

法律になったことは一度もありません。3つの大綱をたどります。

  1. 令和6年度税制改正の大綱(令和5年12月)。16歳から18歳の一般部分(国税38万円・地方税33万円)に代えて、上乗せ部分(国税25万円・地方税12万円)を復元することを「目指す」と書きました。適用は令和7年度改正で結論を得るという留保つきです[財務省 令和6年度大綱]。
  2. 令和7年度税制改正(1回目の先送り)。令和8年分の所得税と令和9年度分の個人住民税は維持し、見直しは令和8年度以降に検討すると結論づけました。結果は現行法令で確認できます[国税庁 No.1180]。
  3. 令和8年度税制改正(2回目の先送り)。令和7年12月26日に閣議決定された大綱に、扶養控除の縮小は入っていません[財務省 令和8年度大綱]。検討事項の側で、令和9年分と令和10年度分の維持が明記されました[総務省]。

「25万円・12万円」は新しい数字ではありません。2010年の高校実質無償化のとき、16歳以上19歳未満に付いていた上乗せ(住民税12万円)は実際に廃止されました[総務省 平成22年度改正]。高校生年代は、一度削られた層です。いまの案は、そのとき失った上乗せを復活させる代わりに本体を取り崩す置き換えです。

令和8年分で申告書の様式は変わるが、理由は大学生年代

「書式が変わったから控除も減ったのでは」という誤解が起きやすい年です。様式の変更は事実ですが、原因は別にあります[国税庁 令和8年分 給与の源泉徴収事務]。

  • 扶養控除等申告書の記載対象が「控除対象扶養親族」から「源泉控除対象親族」に変わった
  • 理由は特定親族特別控除の創設。対象は19歳以上23歳未満で合計所得58万円超100万円以下の親族、つまり大学生年代
  • 扶養親族等の数の算定も、源泉控除対象親族の数を基にする方式へ
  • 高校生年代の子は従来どおり控除対象扶養親族として書く。控除額も38万円のまま
  • 16歳未満の子は、いまも「住民税に関する事項」欄に書く(非課税判定で人数に数えるため)

様式の変更は、高校生の扶養控除とは無関係です。欄の名前が変わっただけです。

もし25万円へ縮小されたら、増税は年2万7,600円から6万4,800円

減る控除は所得税で13万円、住民税で21万円です。増税額は所得税の限界税率で決まります。

所得税の限界税率所得税の増加住民税の増加合計(年・子1人)
5%6,636円21,000円27,636円
10%13,273円21,000円34,273円
20%26,546円21,000円47,546円
23%30,527円21,000円51,527円
33%43,800円21,000円64,800円

本サイトの試算。所得税は13万円×税率×1.021(復興特別所得税を含む)、住民税は21万円×10%(標準税率)で計算[総務省]。縮小は実施されていないため、仮の計算です。

年収600万円・高校生の子1人(本サイトの試算)

給与収入のみ、社会保険料は年収の15%、扶養は高校生の子1人だけという前提です。課税所得は約240万円、限界税率は10%です。

所得税 13万円×10%×1.021=13,273円、住民税 21万円×10%=21,000円。合計で年34,273円の増税です。

年収別の目安です。基礎控除や社会保険料で前後します。

  • 年収400万円(税率5%)……約27,600円
  • 年収600万円(税率10%)……約34,300円
  • 年収800万円・1,000万円(税率20%)……約47,500円

児童手当は高校生年代で月1万円、年12万円です[こども家庭庁]。金額と支給日は児童手当はいくら・いつもらえるかで確認できます。仮に縮小されても、手当のほうが増税額より大きい計算です。最高税率45%でも増税は約8万1,000円です。

削る布石はもう打たれている——住宅ローン控除と生命保険料控除

手当のほうが大きいなら、なぜ議論が続くのか。狙いが損得の合計ではなく、支援を控除から給付へ寄せる組み替えだからです。

令和8年度の検討事項には、扶養控除の見直しを踏まえた「先行的な拡充」という一文が入りました[総務省]。名指しされたのは住宅ローン控除と生命保険料控除です。令和8年度改正では実際に次の2つが動いています[財務省 令和8年度大綱]。

  • 住宅ローン控除の借入限度額の特例に、19歳未満の扶養親族を有する者が特例対象個人として加わった(住宅ローン控除ガイド)
  • 23歳未満の扶養親族がいる場合の生命保険料控除の特例が、適用期限を延長された

先に配って、後から取る。順番としてはそう読めます。

もう一つの追い風が高校無償化です。同じ検討事項は「高校無償化の所得制限の撤廃等」も念頭に検討を進めると書いています。就学支援金の所得制限は令和8年4月に撤廃されました[文部科学省]。

家計には朗報ですが、扶養控除には逆風です。「控除を削ると無償化から落ちる世帯が出る」という反対理由が、制度ごと消えたからです。

高校生年代には、大学生年代のような受け皿がない

縮小より先に効く落とし穴が子のアルバイト収入です。19歳から22歳と16歳から18歳では壊れ方が違います。

19歳〜22歳(大学生年代)

  • 特定扶養親族として63万円の控除
  • 収入が増えても特定親族特別控除で段階的に減る
  • 合計所得58万円超100万円以下の範囲で受け止める[国税庁]

16歳〜18歳(高校生年代)

  • 一般の控除対象扶養親族として38万円の控除
  • 段階的に減らす受け皿がない
  • 令和8年分は合計所得62万円(給与収入136万円)を1円超えた時点で、38万円が丸ごと消える[国税庁 No.1180]

控除が38万円消えると、税率10%の世帯で年6万円ほど負担が増えます。縮小案(3万4,273円)の倍近い影響です。子が年末にシフトを増やすときは、給与の見込み額を必ず確かめてください。

縮小が効くのは国の窓口ではなく、都道府県の窓口

縮小されたとき、税額以外にどこへ響くのか。影響の有無で分けます。

影響しないのは、扶養親族の人数で決まる制度です。住民税の非課税判定は人数と所得で決まるため、控除額が減っても基準は動きません[総務省]。国民健康保険料も同じです。国保の所得割は基礎控除しか差し引かないため、扶養控除とは無関係です。

問題は課税標準額で所得を判定する制度です。私立高校の授業料支援は、令和7年度まで「市町村民税の課税標準額×6%−調整控除額」で判定していました[文部科学省]。国の就学支援金は所得制限が消えたので、この式はもう使いません。

ところが都道府県の上乗せ補助は別です。文部科学省も、都道府県独自の支援は制度ごとに要件が異なると注意を促しています[文部科学省]。同じ判定式と所得制限を令和8年度も使う府県が残っています。

  • 所得制限が残る例……京都府、北海道、埼玉県、千葉県、福岡県
  • 控除が13万円減ると、判定額は13万円×6%=7,800円上がる(本サイトの試算)
  • 境目にいる世帯は、国では落ちないのに県の上乗せから落ちる

上乗せ額と要件は都道府県の上乗せで整理しています。府県名は2026年9月時点の各府県公式案内を本サイトが確認したものです。

よくある質問(高校生の扶養控除)

高校無償化になっても扶養控除は受けられますか。

受けられます。就学支援金は授業料に充てる非課税の給付で、扶養控除とは別の制度です。児童手当も同じく併用でき、どちらも扶養控除を減らす効果はありません。

まとめ

  • 高校生の扶養控除は所得税38万円・住民税33万円のまま。令和9年分の所得税と令和10年度分の住民税まで維持が決まっている
  • 25万円への縮小案は2度先送りされたが、議論は続いている。縮小されれば増税は年2万7,600〜6万4,800円
  • 令和8年分の申告書の様式変更は大学生年代の特定親族特別控除が理由。高校生の書き方と控除額は変わらない
  • 高校生の子のバイト収入が給与136万円を超えると38万円が一度に消える
  • 縮小が効くのは都道府県の私立高校上乗せ補助。判定額が7,800円上がり、境目の世帯が外れうる

参考リンク(出典)

※増税額は、控除額と税率を本サイトが当てはめた仮の試算です。縮小は法律になっていません。

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公開日:2026年10月02日 / 執筆:みんなの税金 編集部

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