東京都の家庭向け脱炭素補助金は、太陽光・蓄電池・V2Hを組み合わせれば都の制度だけで最大約260万円(既築5kW太陽光+10kWh蓄電池+V2Hの例)の補助が狙えます。一方で、複数の補助金を同じ年に受け取ると「一時所得」で課税される落とし穴も。金額・申請期間・税務上の注意点までまとめて解説します。
全体像:都の3制度+国の補助金を重ねられる
東京都の家庭向け補助は、「災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業」(窓口はクール・ネット東京)のもとで、①太陽光発電 ②家庭用蓄電池 ③V2H(EVと家をつなぐ充放電設備)が柱です。国の補助金とも併用でき、重ねるほど自己負担が下がります[クール・ネット東京]。
| 制度 | 補助の目安 | 上限 |
|---|---|---|
| ① 太陽光発電 | 既築で最大15万円/kW | 3.75kW以下は45万円(超は単価12万円/kW) |
| ② 家庭用蓄電池 | 新設10万円/kWh | 120万円/戸(DR不参加) |
| ③ V2H | 太陽光+EVで設置費全額 | 100万円 |
① 太陽光発電
設置する住宅が新築か既築かで単価が変わり、既築(リフォーム設置)のほうが手厚いのが特徴です[クール・ネット東京 令和8年度]。
| 区分 | 容量 | 補助単価 | 上限 |
|---|---|---|---|
| 既築住宅 | 3.75kW以下 | 15万円/kW | 45万円 |
| 3.75kW超 | 12万円/kW | 対象経費(50kW未満) | |
| 新築住宅 | 3.6kW以下 | 12万円/kW | 36万円 |
| 3.6kW超 | 10万円/kW | 対象経費(50kW未満) |
5kW × 12万円/kW(3.75kW超の単価)
= 60万円の補助
② 家庭用蓄電池
容量に応じた手厚い補助が出ます。デマンドレスポンス(DR)実証への参加可否で上限と加算が変わります[クール・ネット東京 令和8年度]。
| 区分 | 補助単価・加算 | 上限 |
|---|---|---|
| 新設(蓄電池パッケージ) | 10万円/kWh | 120万円/戸(DR不参加) |
| 増設(蓄電池ユニット) | 6万円/kWh | 72万円/戸(DR不参加) |
| DR実証に参加 | +10万円/台の加算 | 戸あたり上限が外れ、助成対象経費まで |
| DR参加+エネルギーマネジメント機器設置 | 加算が+15万円/台に増額 | 同上 |
DR実証の加算・上限拡大を受けるには、交付申請兼実績報告の前にDR実証の契約を締結しておく必要があります。順番を間違えると加算が受けられません。
10kWh × 10万円/kWh(上限120万円内)
= 100万円の補助
③ V2H(EV・PHVと家をつなぐ充放電設備)
V2Hは、太陽光やEV/PHVを併せ持つかどうかで補助率が大きく変わります。東京都EV購入補助金との合わせ技が効くポイントです[クール・ネット東京 令和8年度]。
| 条件 | 補助率 | 上限 |
|---|---|---|
| 太陽光・EV/PHVの両方がある | 設置費の全額(10/10) | 100万円 |
| どちらか一方のみ | 設置費の1/2 | 50万円 |
EVをこれから買う方は、東京都EV購入補助金と合わせて検討すると、V2Hが全額補助の対象になり効果が大きくなります。都は2026年6月24日、EVの車両購入補助の上限を最大130万円へ引き上げると発表しており、国のCEV補助金と合わせると最大260万円規模になります。詳しくは東京都EV購入補助金ガイドをご覧ください。
モデルケース:都の3制度を組み合わせると
既築住宅で太陽光・蓄電池・V2Hをまとめて導入し、EVも保有する場合の目安です。
ここに国の補助金(後述)を重ねれば、さらに上積みが可能です。
国の補助金との併用
東京都の補助は、国や市区町村の補助金と併用できます(ただし合計で設置費用を超える補助は受けられない点に注意)。
- 蓄電池:国の「DR家庭用蓄電池事業」(令和7年度補正・上限60万円)と併用できましたが、2026年5月29日に予算到達で受付終了しました[SII公式]。SIIは本事業の公募再開は行わないと明記しており、次年度補正での後継事業は未定です
- V2H:国の充電インフラ補助金(令和7年度補正)にV2H充放電設備の枠があり併用可。個人宅向けは機器上限75万円+工事費上限55万円で、受付は2026年7〜9月の見込み=まさに今が動く時期です。都の事前申込と並行して、受付開始を必ず確認してください[次世代自動車振興センター]
- 国の補助は例年、受付開始から数か月で予算切れになります。都の補助を軸に資金計画を立て、国の分は「受付中なら上乗せ」と考えるのが現実的です
申請期間・よくあるつまずき
▶ 事前申込はクール・ネット東京の各事業ページから:太陽光/蓄電池/V2H
| 手続き | 時期(令和8年度) |
|---|---|
| 事前申込 | 2026年5月29日〜(受付中) |
| 交付申請 | 2026年6月30日〜2027年3月31日(V2H等) |
次の3点が典型的な失敗パターンです。
- 契約が先はNG:原則、機器設置の契約前に事前申込が必要です。「工事を頼んでから補助金を探す」と対象外になり得ます
- 予算先着:期間内でも予算到達で受付終了します。導入を決めたら早めに事前申込を
- 実績報告の期限:交付決定後の報告期限(原則1年以内など事業ごとに規定)を過ぎると受け取れません。手引きで必ず確認を
申請前に必ず押さえる|補助金の税務処理
ここが「みんなの税金」として最も伝えたいポイントです。自宅用に受け取った補助金は「一時所得」となり、年間の合計額によっては課税されます。
個人が自宅用に受け取る補助金は一時所得に区分され、年50万円の特別控除があります。その年に受け取った一時所得の合計が50万円を超えると、超えた部分の1/2が課税対象に。太陽光・蓄電池・V2Hを同じ年にまとめて導入すると補助金合計が100万〜200万円規模になることもあり、その場合は確定申告が必要です[国税庁 No.1490]。
一時所得の収入:150万円
特別控除:▲50万円
(150万円 − 50万円) × 1/2 = 50万円が他の所得と合算して課税
※生命保険の満期金など他の一時所得がある年は合算されます。
実は、国や自治体からの補助金で固定資産(太陽光・蓄電池・V2Hなどの設備)を取得した場合、確定申告時に「国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書」を添付すれば、設備の取得に充てた補助金は総収入金額に算入されず、非課税にできます(所得税法42条。事業者だけでなく自宅用の個人も対象)。50万円を超える補助金を受けた年は、この明細書の添付を忘れないことが一番の対策です(住民税には同様の制度がない点に注意)。
太陽光は今年、蓄電池・V2Hは翌年、というように受給する年を分けると、各年の50万円控除の範囲に収めやすくなります(工事・申請スケジュールの範囲で)。
② 個人事業主・法人が事業用に導入する場合
- 個人事業主(事業用):事業所得の総収入金額(雑収入)に算入。圧縮記帳または総収入金額不算入の特例(所得税法42条・明細書の添付が必要)で課税繰り延べ・不算入にできる
- 法人(事業用):益金に算入。国庫補助金等の圧縮記帳で課税繰り延べ可
③ 固定資産税・売電収入の扱い
- 自宅の屋根に載せる10kW未満の太陽光(住宅用)は、原則として固定資産税(償却資産)の対象外
- 余った電力を売る売電収入は雑所得。給与所得者で他の副収入と合わせ年20万円以下なら申告不要のケースもある(補助金の一時所得とは別計算)
まとめ
よくある質問
東京都の太陽光・蓄電池・V2Hの補助金はいくら?
令和8年度は、太陽光が既築で15万円/kW(3.75kW以下・上限45万円、超は12万円/kW)、蓄電池が新設10万円/kWh(DR不参加時の上限120万円/戸)、V2Hは太陽光とEVの両方があれば設置費全額(上限100万円)です。単価・上限は年度で変わるため、申請前にクール・ネット東京の要綱で最新を確認してください。
国の補助金と併用できる?
併用できます(合計で設置費を超える受給は不可)。ただし国のDR家庭用蓄電池補助(上限60万円)は2026年5月29日に予算到達で受付終了しました。V2Hの国補助(充電インフラ補助金)は受付状況を公式サイトで確認してください。
受け取った補助金に税金はかかる?
個人が自宅用に受け取る補助金は原則一時所得ですが、確定申告で「国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書」を添付すれば、設備の取得に充てた補助金は非課税にできます(所得税法42条)。合計50万円を超える年はこの特例の利用を検討してください。事業用の補助金は雑収入・益金に計上し、圧縮記帳等で繰り延べできます。
賃貸でも使える?申請のタイミングは?
対象は都内の住宅への設置などの要件があり、原則として機器設置の契約前に事前申込が必要です。予算上限に達すると期間内でも終了するため、早めに公式で受付状況を確認しましょう。
参考リンク(出典)
本記事は次の公的機関の資料をもとに作成しています(中立・一次情報)。補助単価・上限・期間は年度や予算状況で変わります。申請前に必ず公式サイト・要綱をご確認ください。
- クール・ネット東京(東京都地球温暖化防止活動推進センター)補助金一覧
- クール・ネット東京 令和8年度 家庭における太陽光発電導入促進事業
- クール・ネット東京 令和8年度 家庭における蓄電池導入促進事業
- クール・ネット東京 令和8年度 戸建住宅におけるV2H普及促進事業
- 東京都環境局 災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業
- SII 令和7年度補正 DR家庭用蓄電池事業(受付終了)
- 経済産業省 CEV補助金(令和7年度補正・車両)
- 経済産業省 充電・充てん設備等導入促進補助金(令和7年度補正・V2H含む)
- 国税庁 No.1490 一時所得
- 国税庁 No.5763 国庫補助金等で取得した資産の圧縮記帳
※本記事は情報提供を目的としており、税務・申請アドバイスではありません。補助単価・上限・期間は年度や予算状況により変わります。申請前に各補助金の公式サイト・要綱、税務処理は税務署または税理士にご確認ください。







