火災保険は2026年10月に本当に上がる?|「過去最大10〜15%」の正体と自分の更新日

この記事の更新情報

  • 公開。損害保険料率算出機構「火災保険参考純率」(届出履歴)・「火災保険参考純率 改定のご案内」(2023年6月28日・2021年6月16日)・「火災保険・地震保険の概況」2025年度版・「ニュースリリース」・「火災保険 水災補償付帯率」・「地震保険基準料率」、財務省「地震保険制度の概要」、国税庁タックスアンサーNo.1145・No.1370、中央区「地震保険料控除」、日本経済新聞・福島民報の報道をもとに作成

「火災保険が2026年10月に過去最大級の10〜15%値上げ」という話は、一次情報では確認できません。保険料の目安を出す損害保険料率算出機構の最新の届出は2023年6月の全国平均+13.0%で、これが2024年10月の各社改定に反映されました[損害保険料率算出機構 火災保険・地震保険の概況2025年度版]。2026年10月に起きるのは、各社が自社の判断で行う改定です。たとえば損保ジャパンは個人向けを平均約3%引き上げると報じられました[福島民報 2026年5月28日]。

自分の保険料が変わるのは、次の更新日(保険の始期日)からです。5年契約の途中なら、満期まで今の保険料のままです。まず保険証券で満期日と保険会社を確かめ、更新案内の金額を今年と比べてください。

結論:2026年10月は「業界一斉の値上げ」ではなく「各社の改定」

拡散している話一次情報で確認できること
2026年10月に過去最大級の値上げ「過去最大」は2023年6月届出の+13.0%(2024年10月から各社が反映)。2026年に火災保険の届出はない
10〜15%上がる損保ジャパンは個人向け平均約3%(報道)。率も時期も会社ごとに違う
県別の改定率は+6.3%〜東京の木造+6.3%は2023年届出の例示の数字
10月以降は全員上がる適用は10月以降の新規・更新契約。長期契約の途中は満期まで変わらない
地震保険も上がる地震保険の直近の料率改定は2022年10月。2026年の届出はない

※損害保険料率算出機構の公表資料(2026年9月29日確認)による。各社の改定は報道・各社の告知。

値上げがないわけではありません。ただ上がり幅は会社と契約条件で大きく違うので、自分の更新案内を見てから判断するほうが確実です。

「過去最大」の出どころは2023年6月の+13.0%——機構の届出は2023年が最新

損害保険料率算出機構は、保険料のうち保険金に充てる部分の目安(参考純率)を出す団体です。毎年度検証し、必要なときだけ金融庁長官に届け出ます。直近4回の改定率は下の図のとおりです[損害保険料率算出機構 火災保険参考純率]。

2026年4月に出た機構の年次資料も「直近では2023年6月に届出」と書いています[同 概況2025年度版21頁]。2026年に機構が届け出たのは、自動車保険と傷害保険の参考純率だけです[同 ニュースリリース]。

  • 2023年の届出を受け、大手4社は2024年10月に10%前後引き上げた[日本経済新聞 2024年5月]
  • ネット上の「県別改定率」には、2023年届出の例示(東京の木造+6.3%など)がそのまま使われているものがある

「過去最大」は2年前の改定の説明で、それが「2026年10月」の見出しに付け替えられて広がったと読むのが自然です。

保険料は「参考純率→各社の料率→あなたの保険料」の3段で決まる

機構の参考純率は、そのまま保険料になるわけではありません。使うか、修正して使うか、使わないかは各社の判断で、販売の時期も各社が決めます[損害保険料率算出機構 2023年6月28日リリース5頁]。

機構自身も、参考純率の改定率は各社商品の改定率とは異なると明記しています。全国平均の+13.0%も、都道府県・構造・築年数・補償内容をすべて平均した数字です。

2026年10月に上がるのは各社の改定——損保ジャパンは個人向け平均約3%

機構の届出がなくても、各社は自社の支払い実績を見て料率を改定できます。2026年10月の値上げは、この各社改定です。

会社2026年10月の内容情報源
損保ジャパン個人向け平均約3%引き上げ、企業向け約1.2%。前回は2024年10月で2年ぶり報道(2026年5月)
ソニー損保2026年10月1日以降が始期の契約で商品改定同社の告知
その他の会社改定の有無・率は各社で異なる更新案内・各社の告知で確認

損保ジャパンの理由は、物価上昇による住宅の修理費の上昇と報じられています[日本経済新聞 2026年5月]。報道では、一戸建ては最大1割程度上がる一方、マンションは最大3割程度下がる可能性もあるとされます。同じ会社でも「平均3%」の中身は建物によって逆向きです。

  • 2018年の台風21号の支払保険金は合計1兆678億円(日本損害保険協会調べ)
  • 2024年度は4月の降ひょうと台風10号で累計990億円(2025年3月末現在)

背景は本物ですが、どの会社がいつ何%上げるかは各社の公表でしか分かりません。台風シーズンの備えは台風前にやる「お金の防災」でも整理しています。

自分の契約はいつから上がるのか——次の更新日(始期日)で決まる

新しい料率が使われるのは、改定日以降に始まる新規契約と更新契約です。報道でも、損保ジャパンの新料率は2026年10月以降に加入か更新した人に適用されるとされています[福島民報 2026年5月28日]。

当面変わらない人

  • 5年契約の途中で、満期が2027年以降
  • 9月中に更新が済んだ(始期日が9月以前)
  • 加入先が2026年10月に改定しない

次の更新で上がりうる人

  • 2026年10月以降に満期・更新を迎える
  • 1年契約で毎年更新している
  • 一戸建て(報道では上げ幅が大きい)

長期の一括払いなら、契約中に保険料が差し替わることは通常ありません。年払い・月払いの長期契約は約款で確認してください。

年払い4万円の戸建てで、率ごとに比べると(本サイトの試算)
  • 平均3%なら 40,000円 → 41,200円(年1,200円増)
  • 拡散している15%なら 46,000円(年6,000円増)

5年分なら3%と15%の差は2万4,000円。実額は建物と地域で上下するので、更新案内で確かめます。

いくら上がるかは構造・地域・水災等地・築年数で数倍の差

火災保険料は同じ保険金額でも条件で何倍も違い、全国平均の改定率は自分の契約をほとんど説明しません[損害保険料率算出機構 概況2025年度版16〜17頁]。

決まる要素参考純率での差
建物の構造(マンション・鉄骨・木造)最も高い構造と低い構造で2.84〜5.92倍
所在地(市区町村)最も高い地域と低い地域で2.31〜3.83倍
水災等地(1〜5等地)補償全体で約1.2倍の差(2023年届出で導入)
築年数築5年未満は平均35%、5〜10年未満は平均27%の割引

2023年届出の例示でも、改定率の幅は大きく開いていました[同 2023年6月28日リリース4頁]。建物2,000万円・家財1,000万円・築10年以上の例です。

  • 東京の木造:平均+6.3%、水災等地別では▲1.3%〜+19.0%
  • 東京のマンション:平均+10.4%、等地別では+4.3%〜+20.2%
  • 宮崎のマンション:平均+23.9%

自分の地域の水災等地は、機構の水災等地検索で市区町村ごとに調べられます。

更新前にできること——期間・水災・免責・家財の4点を見直す

補償の中身を見直せば保険料は動きます。削る前に「その補償が無いと困るか」を確かめるのが先です。

  1. 満期日と会社を確認する——保険証券で始期日・満期日・払い方を確かめる。住宅ローンと同時に銀行経由で入った人も多い
  2. 契約期間を決める——現在の上限は5年(2021年届出で10年から短縮)。改定前に長く組めば、その期間は料率が固定される
  3. 水災補償の要否をハザードマップで判断する——全国の水災補償の付帯率は2024年度で61.8%と下がり続けている。高台のマンション上層階と、川沿いの一戸建てでは答えが違う
  4. 免責金額(自己負担額)を見直す——小さな損害を自分で払う設定にすると保険料は下がる。貯蓄で払える額を上限にする
  5. 家財の保険金額を実態に合わせる——家族構成が変わると過大になっていることがある

付帯率は機構の公表値です[損害保険料率算出機構 2025年11月28日]。節約目的で水災補償を外す傾向には、機構も懸念を示しています。外すのは、浸水の可能性が低いと地図で確かめられた場合だけにしてください。

今日やること

  1. 保険証券を出し、満期日・保険会社・水災補償の有無の3点をメモする。
  2. 自治体のハザードマップと機構の水災等地検索で、自宅の浸水想定と等地を調べる。
  3. 満期が近ければ、今の会社の更新見積もりを先に取り、金額を今年と比べる。

向かない人・注意点——乗り換えの空白、築古、地震保険、税の控除

値上げを避けるための乗り換えや削減には、保険料以上に損をする落とし穴があります。

  • 補償の空白:新しい契約の始期を旧契約の満期と同じ日にしないと、1日でも無保険になる。解約を先に済ませない
  • 築古の引き受け:築年数が古い建物は、契約期間や引き受けに条件を付ける会社がある。乗り換え先で同じ補償が組めるとは限らない
  • 地震保険は会社で差が出ない:すべての保険会社が機構の基準料率を使っている。地震保険料を下げる目的の乗り換えは効果がない
  • 長期一括の前払い:5年分を一度に払う資金が要る。生活防衛資金を削ってまで組まない

地震保険は政府が再保険する制度で、保険金額は火災保険の30〜50%、建物5,000万円・家財1,000万円が上限です[財務省 地震保険制度の概要]。料率の直近の改定は2022年10月で、2026年の届出はありません[損害保険料率算出機構 地震保険基準料率]。

税金の面では、火災保険料そのものは所得控除になりません。控除があるのは地震保険の部分だけで、地震保険料控除として年末調整か確定申告で差し引きます[国税庁 No.1145]。

地震保険料が年2万円・所得税率10%の会社員(本サイトの試算)
  • 所得税の控除額:2万円(5万円以下は全額)→ 税が約2,000円減る
  • 住民税の控除額:1万円(支払額の2分の1、上限2万5,000円)→ 税が約1,000円減る[中央区]
  • 合計で年約3,000円の減税。火災保険部分の保険料は計算に入らない

控除証明書の書き方は生命保険料控除・地震保険料控除の節税効果にまとめました。災害で実際に損害が出たときの税の軽減は雑損控除と災害減免法の選び方で扱っています。保険金で補てんされた額は雑損控除の損失額から差し引かれるので、保険と税はセットで考えます。

よくある質問

9月中に更新すれば値上げを避けられますか。

始期日が改定日より前なら、その契約期間は改定前の料率です。ただし満期前に解約して入り直すと、解約の返戻金の計算や補償の空白に注意が必要です。前倒しの可否と差額は、保険会社か代理店に見積もりで確かめてください。

損害保険料率算出機構は、次に火災保険の料率をいつ見直しますか。

機構は毎年度検証し、必要なときだけ届け出ます。2026年9月末時点で、2023年6月の後の届出はありません。届け出れば機構のニュースリリースで公表されます。

まとめ

  • 「2026年10月に過去最大級の10〜15%値上げ」は一次情報で確認できない
  • 「過去最大」は2023年6月届出の全国平均+13.0%で、2024年10月の各社改定に反映済み
  • 2026年10月は各社の独自改定。損保ジャパンは個人向け平均約3%と報道
  • 新しい料率は次の更新日(始期日)から。5年契約の途中なら満期まで今の保険料のまま
  • 保険証券で満期日・保険会社・水災補償の有無を確かめ、更新案内の金額を今年と比べる

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公開日:2026年10月04日 / 執筆:みんなの税金 編集部

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