EVは「買い時」か?2026年に変わった自動車の税金と、2028年から始まるEV増税
結論から言うと、EVの税制優遇は今がピークです。2026年3月末で取得時の環境性能割が廃止され、EVの自動車税75%軽減(グリーン化特例)と重量税のエコカー減税は2028年春まで延長。一方で、2028年度以降に新車登録するEVから課税強化が始まる方針が令和8年度税制改正の大綱で決まりました。「今の優遇と将来の負担、両方を知ってから買う」ための最新動向を、計算例つきで解説します。
2026年に変わった「自動車の税金」4つ
① 環境性能割が2026年3月末で廃止(取得時は消費税のみに)
クルマの取得時にかかっていた「環境性能割」(燃費性能に応じて取得価額の0〜3%)が、令和8年(2026年)3月31日をもって廃止されました(2026年3月31日成立の地方税法改正)。2026年4月以降に買うクルマは、取得時にかかる税金が消費税だけになります。あわせて「自動車税種別割」「軽自動車税種別割」の名称も、元の「自動車税」「軽自動車税」に戻りました。
EVは環境性能割がもともと非課税(0%)でした。つまり廃止で得をするのは主にガソリン車・ハイブリッド車を買う人です。例:税率2%・課税標準450万円のガソリン車なら約9万円 → 2026年4月以降はゼロに。
② ガソリン・軽油の暫定税率が廃止(燃料代の税負担が軽く)
- ガソリンの暫定税率(25.1円/L)は2025年12月31日に廃止済み
- 軽油引取税の当分の間税率(17.1円/L)は2026年4月1日に廃止
ガソリン車の維持費が下がる改正ですが、裏を返せば道路財源が減るため、後述の「EVへの課税強化」の伏線でもあります。
③ グリーン化特例が2年延長(EVの優遇は継続)
EV・PHEV・FCVなどを新車登録すると翌年度の自動車税が概ね75%軽減される「グリーン化特例」が、令和10年(2028年)3月31日まで2年延長されました。EV優遇の本体はこちらです[日本自動車工業会]。
④ エコカー減税は延長、ただし基準は厳格化
自動車重量税の「エコカー減税」は令和10年(2028年)4月30日まで延長。ただし対象となる燃費基準(令和12年度燃費基準の達成度)は、2026年5月と2027年5月の2段階で引き上げられ、ガソリン車・ハイブリッド車は対象から外れる車種が増えます。EV・FCV・PHEVは基準引き上げの影響を受けず、期間中ずっと新規登録時と初回車検時が免税です[令和8年度税制改正の大綱]。
EVの税金は「今」いくら安いのか
EVを新車で買うと、税金面で次の優遇がまとめて効きます(自家用乗用車の例)。
| 税金 | EV(新車) | ガソリン車(参考) |
|---|---|---|
| 取得時の環境性能割 | 非課税(0円) | 2026年4月以降は0円(廃止前は最大3%) |
| 自動車税(翌年度) | 概ね75%減(25,000円→6,500円) | 満額(排気量区分:25,000円〜) |
| 自動車重量税 | 新規登録・初回車検が免税(0円) | エコカー減税の範囲で軽減(対象外なら満額) |
・自動車税(登録翌年度):EV 6,500円(25,000円が75%軽減)/ガソリン車 30,500円 → 差 24,000円
・自動車重量税(新車3年分):EV 0円(免税)/エコカー減税対象外のガソリン車(車両重量1.5t以下)36,900円 → 差 36,900円
・取得時の環境性能割:どちらも0円(2026年3月末で廃止)
登録から3年間の車体課税だけで、6万円以上の差になるケースがあります。
※自動車税の軽減は登録翌年度の1年分のみで、2年目以降のEVは25,000円。ガソリン車もエコカー減税の対象なら重量税は軽減されます。実際の税額は車種・重量・登録時期で変わります。
購入補助金(国のCEV・自治体)と合わせれば、EVは初期コストと初期の税負担が最も軽い時期にあると言えます。金額は東京都EV購入補助金ガイドをご覧ください。
2028年から始まる「EV課税強化」の中身
EVはガソリン税を負担しないため、普及するほど道路財源が減るという構造的な問題があります。これを背景に、令和8年度税制改正の大綱で次の2つの課税強化が決まりました[令和8年度税制改正の大綱]。
- ① 令和10年度(2028年度)以降に新車登録するEV(乗用車) 自動車税を、排気量の代わりに「車両重量に応じた課税方式」へ移行。現在は排気量のないEVに最低税率(25,000円)が一律適用されていますが、この扱いが見直されます。税率の平均水準は「EV以外のクルマの平均税率と同水準」が基本方針で、具体的な税率は令和9年度税制改正(2026年末)で決定されます。
- ② 令和10年(2028年)5月1日以降の車検から 自家用乗用のEV・PHEVに、車両重量に応じた重量税の特例加算を導入。ガソリン車ユーザーが平均的に負担しているガソリン税とのバランスで税額を設定し、PHEVはEVの2分の1が目安。ただし新車の新規検査分は免除、すでに販売済みの車も施行後最初の継続車検分は免除される経過措置があります。
①の重量ベースの自動車税は2028年度以降の「新規登録分」からで、それ以前に登録したEVの自動車税は対象外です。②の特例加算は保有中のEVにも将来の車検から順次かかりますが、最初の1回分は免除されます。いずれも具体的な税額はまだ確定していないため、最新情報は総務省・国土交通省の公表をご確認ください。
EVは車載電池のぶん車両重量が大きく道路への負荷が高い一方、ガソリン税を負担していません。異なる動力源の間の「負担の公平」を図るのが趣旨で、重量ベース課税は将来的にEVの保有コストを押し上げる可能性があります。今の優遇がいつまでも続く前提では考えないことが大切です。
事業でEVを使う場合の税務ポイント
個人事業主・法人が事業用にEVを導入する場合は、補助金・減価償却の扱いも押さえておきましょう。
受け取った購入補助金は、法人は益金、個人事業主は事業所得の総収入金額に算入され課税対象です。固定資産(EV)の取得に充てた国庫補助金等は、圧縮記帳(個人は所得税法42条の特例)で課税を繰り延べできます[国税庁 No.5763]。
事業用の普通自動車(EV含む)の法定耐用年数は6年。事業利用割合に応じて経費化します(自宅兼用なら走行距離などで事業按分)[国税庁 No.2100]。
EV購入補助金には保有義務期間(国はおおむね3〜4年)があり、期間内の売却・処分は返還の対象になります。事業の買い替えサイクルと合わせて確認してください。
まとめ
よくある質問
EVの自動車税は安い?
新車登録の翌年度の自動車税が「グリーン化特例」で概ね75%軽減されます。重量税も新規登録・初回車検が免税です。これらは2028年春まで延長されています。
環境性能割の廃止でEVは得した?
EVは環境性能割がもともと非課税なので、廃止(2026年3月末)で得をするのは主にガソリン車・ハイブリッド車を買う人です。
2028年からEVは増税される?いま持っているEVも対象?
2028年度以降に新車登録するEVから重量に応じた自動車税へ移行し、2028年5月以降の車検からEV・PHEVに重量税の特例加算が始まる方針です。それ以前に登録したEVの自動車税は対象外で、特例加算も最初の1回分は免除されます。具体的な税額は令和9年度税制改正で決まる見込みです。
走行距離課税はもう導入された?
2026年7月時点で走行距離に応じた課税は導入されていません。令和8年度税制改正では見送られ、車体課税・燃料課税のあり方として中長期的に検討が続く段階です。
事業で買ったEVの補助金に税金はかかる?
受け取った購入補助金は法人の益金・個人事業の総収入金額に算入され課税対象です。EVの取得に充てた国庫補助金等は圧縮記帳で課税を繰り延べできます。
参考リンク(出典)
本記事は次の公的機関・公的団体の資料をもとに作成しています(中立・一次情報)。税制改正の施行時期や詳細は今後の法令・通達で変わる可能性があるため、最新情報をご確認ください。
- 国土交通省 令和8年度税制改正の大綱(抜粋)自動車関係諸税の見直し(令和7年12月26日閣議決定)
- 経済産業省 令和8年度税制改正(車体課税の抜本見直し)
- 国土交通省 自動車関係税制について(エコカー減税・グリーン化特例)
- 日本自動車工業会(JAMA)環境対応車への軽減措置
- 国税庁 No.5763 国庫補助金等で取得した資産の圧縮記帳
- 国税庁 No.2100 減価償却のあらまし
※本記事は一般的な情報提供であり、税務・購入の助言ではありません。個別の判断は税務署・税理士・販売店にご確認ください。







