この記事の更新情報
- 「手取りで損しないための考え方」に保険料調整制度(2026年10月1日開始・50人以下・最大3年)を追記
- 9月3日に47都道府県すべての答申が出そろったことを受け、一覧表を確定答申額+発効予定日(10/1〜12/2)に全面差し替え。全国加重平均1,177円(+56円)・33都道府県が目安超え・最大は佐賀+65円を反映し、出典を厚労省の全国一覧(9/3公表)に更新
- 47都道府県別の一覧表を追加(現在=令和7年度額・ランク区分・2026年10月からの見込み額・答申済み12県は答申額)。答申状況を「約半数」から「30超」に更新し、厚労省の全国一覧公表は9月上旬見込みと明記
2026年10月、パート・アルバイトの働き方を決める2つのルールが同時に変わります。ひとつは最低賃金の引き上げ(全国加重平均1,177円・最高は東京の1,280円。発効は10月1日から12月2日まで都道府県ごとに順次で、一覧表は本記事に掲載)。もうひとつは「106万円の壁」の撤廃(10月1日施行済み)です。時給は上がるのに、社会保険の境目は「収入」から「週の労働時間」へ変わりました。時給と週の労働時間を入れるだけの試算ツールで自分のケースを確認できます。
・最低賃金はいまはまだ全国加重平均1,121円(最高は東京1,226円・最低でも1,023円)。2026年度は全県の答申が出そろい加重平均1,177円(+56円)、最高は東京1,280円。発効は10月1日〜12月2日に順次なので、発効日までの給与は現在の時給のまま
・10月1日に106万円の壁(月8.8万円の賃金要件)は撤廃済み。従業員51人以上なら「週20時間」が社会保険の境目に
・130万円の壁(扶養)は残る。時給が上がるほど、同じ年収に達する労働時間は短くなる——「年収」ではなく「週何時間働くか」で考えるのが10月からの新常識
変化①:最低賃金は10月から順次引き上げ
最低賃金は毎年、7月ごろに国の審議会(中央最低賃金審議会)が引き上げの「目安」を答申し、都道府県ごとの審議を経て10月ごろに新しい金額が発効します。現在の状況はこうです[厚労省 中央最低賃金審議会]。
| 現在(2025年度)の全国加重平均 | 1,121円(前年比+66円と過去最大の引き上げでした) |
| 現在の最高・最低 | 最高:東京 1,226円/最低:高知・宮崎・沖縄 1,023円 |
| 2026年度の答申 (9月3日に全県確定) | 全国加重平均1,177円(前年比+56円)。33都道府県が国の目安を上回り、最大は佐賀の+65円。最高額は東京 1,280円。発効は10月1日〜12月2日に順次で、発効日をまたぐ月の給与は日ごとに旧・新の時給を分けて計算します。47都道府県別の確定額・発効日はこちら |
| 政府の目標 | 全国平均1,500円を「2030年代前半のできる限り早期に」(達成には年3%超の引き上げが必要) |
ポイントは、全国どこでも最低賃金がすでに1,000円を超えていることです。これが次の「106万円の壁の撤廃」と直結します。
47都道府県別|2026年度の最低賃金と発効日(確定答申)
2026年9月3日に47都道府県すべての地方最低賃金審議会の答申が出そろい、厚生労働省が全国一覧を公表しました[厚生労働省]。引き上げ額は54円〜65円です。
この表の読み方:発効日は都道府県ごとに違い、10月1日から12月2日まで順次です。発効日までは現在(令和7年度)の最低賃金が適用されます。答申額は異議申出の手続きを経て都道府県労働局長が決定するまでは正式確定ではありませんが、例年ほぼこのまま確定します。
| 都道府県 | ランク | 現在 (令和7年度) | 改定後の額 | 引上げ額 | 発効予定日 |
|---|---|---|---|---|---|
| 北海道 | B | 1,075円 | 1,131円 | +56円 | 10月1日 |
| 青森 | C | 1,029円 | 1,090円 | +61円(目安+5円) | 10月29日 |
| 岩手 | C | 1,031円 | 1,090円 | +59円(目安+3円) | 12月1日 |
| 宮城 | B | 1,038円 | 1,098円 | +60円(目安+4円) | 10月1日 |
| 秋田 | C | 1,031円 | 1,090円 | +59円(目安+3円) | 10月14日 |
| 山形 | C | 1,032円 | 1,092円 | +60円(目安+4円) | 10月30日 |
| 福島 | B | 1,033円 | 1,094円 | +61円(目安+5円) | 10月16日 |
| 茨城 | B | 1,074円 | 1,136円 | +62円(目安+6円) | 10月18日 |
| 栃木 | B | 1,068円 | 1,125円 | +57円(目安+1円) | 10月1日 |
| 群馬 | B | 1,063円 | 1,120円 | +57円(目安+1円) | 10月3日 |
| 埼玉 | A | 1,141円 | 1,196円 | +55円(目安+1円) | 10月1日 |
| 千葉 | A | 1,140円 | 1,195円 | +55円(目安+1円) | 10月1日 |
| 東京 | A | 1,226円 | 1,280円 | +54円 | 10月1日 |
| 神奈川 | A | 1,225円 | 1,279円 | +54円 | 10月1日 |
| 新潟 | B | 1,050円 | 1,108円 | +58円(目安+2円) | 10月1日 |
| 富山 | B | 1,062円 | 1,119円 | +57円(目安+1円) | 10月1日 |
| 石川 | B | 1,054円 | 1,113円 | +59円(目安+3円) | 10月3日 |
| 福井 | B | 1,053円 | 1,112円 | +59円(目安+3円) | 10月4日 |
| 山梨 | B | 1,052円 | 1,113円 | +61円(目安+5円) | 11月1日 |
| 長野 | B | 1,061円 | 1,117円 | +56円 | 10月2日 |
| 岐阜 | B | 1,065円 | 1,121円 | +56円 | 10月1日 |
| 静岡 | B | 1,097円 | 1,154円 | +57円(目安+1円) | 10月15日 |
| 愛知 | A | 1,140円 | 1,195円 | +55円(目安+1円) | 10月1日 |
| 三重 | B | 1,087円 | 1,143円 | +56円 | 10月1日 |
| 滋賀 | B | 1,080円 | 1,136円 | +56円 | 10月3日 |
| 京都 | B | 1,122円 | 1,180円 | +58円(目安+2円) | 11月16日 |
| 大阪 | A | 1,177円 | 1,231円 | +54円 | 10月1日 |
| 兵庫 | B | 1,116円 | 1,172円 | +56円 | 10月1日 |
| 奈良 | B | 1,051円 | 1,107円 | +56円 | 10月4日 |
| 和歌山 | B | 1,045円 | 1,101円 | +56円 | 10月3日 |
| 鳥取 | C | 1,030円 | 1,090円 | +60円(目安+4円) | 10月3日 |
| 島根 | B | 1,033円 | 1,092円 | +59円(目安+3円) | 10月10日 |
| 岡山 | B | 1,047円 | 1,104円 | +57円(目安+1円) | 10月2日 |
| 広島 | B | 1,085円 | 1,141円 | +56円 | 10月11日 |
| 山口 | B | 1,043円 | 1,101円 | +58円(目安+2円) | 10月8日 |
| 徳島 | B | 1,046円 | 1,103円 | +57円(目安+1円) | 11月1日 |
| 香川 | B | 1,036円 | 1,092円 | +56円 | 10月1日 |
| 愛媛 | B | 1,033円 | 1,093円 | +60円(目安+4円) | 11月1日 |
| 高知 | C | 1,023円 | 1,086円 | +63円(目安+7円) | 10月29日 |
| 福岡 | B | 1,057円 | 1,114円 | +57円(目安+1円) | 10月4日 |
| 佐賀 | C | 1,030円 | 1,095円 | +65円(目安+9円) | 11月15日 |
| 長崎 | C | 1,031円 | 1,087円 | +56円 | 11月2日 |
| 熊本 | C | 1,034円 | 1,092円 | +58円(目安+2円) | 12月1日 |
| 大分 | C | 1,035円 | 1,096円 | +61円(目安+5円) | 11月1日 |
| 宮崎 | C | 1,023円 | 1,085円 | +62円(目安+6円) | 10月24日 |
| 鹿児島 | C | 1,026円 | 1,090円 | +64円(目安+8円) | 10月25日 |
| 沖縄 | C | 1,023円 | 1,086円 | +63円(目安+7円) | 12月2日 |
出典:厚生労働省「全ての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されました」(2026年9月3日)・別紙「令和8年度 地域別最低賃金 答申状況」。発効日は答申公示後の異議申出の状況等により変わる可能性があります。
変化②:106万円の壁が消え、「週20時間の壁」へ(10月1日・確定)
パートが勤務先の社会保険(厚生年金・健康保険)に入る条件のうち、「月額賃金8.8万円以上(年約106万円)」の要件が2026年10月1日に撤廃されました。加入条件は次の4つだけです[厚生労働省]。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 2か月を超える雇用の見込み
- 学生でない(昼間部の学生は週20時間以上でも勤務先の社会保険には入らない。ただし親の扶養の収入基準〈19〜23歳未満は150万円〉は別のルールとして残る)
- 従業員51人以上の企業(この要件も2027年10月から段階的に撤廃予定)
つまり10月からは、収入がいくらかに関係なく「週20時間以上働くかどうか」で決まります。制度のくわしい経緯は106万円と130万円の壁で解説しています。
週20時間ちょうど働いた場合の月収は「時給 × 約87時間」。月8.8万円に達するのは時給1,016円以上のときです。いまや最低賃金は全国最低でも1,023円——つまり週20時間働けば、どの都道府県でも自動的に月8.8万円を超えるようになり、賃金要件は事実上意味を失っていました。「最低賃金の状況を見て実施する」とされていた撤廃が今年になったのは、この算数が全国で成立したからです。
あなたはどのパターン?|10月からの4分類
| 勤務先の規模 | 週20時間以上 | 週20時間未満 |
|---|---|---|
| 従業員51人以上 | 社会保険に加入 (年収に関係なく。学生を除く) | 加入なし。 扶養は130万円の壁で判定 |
| 従業員50人以下 | 当面は加入なし※。 扶養は130万円の壁で判定 | 加入なし。 扶養は130万円の壁で判定 |
※50人以下の企業も2027年10月から段階的に加入対象へ拡大され、2035年までに全企業が対象になる予定です。労使合意による任意の適用(任意特定適用事業所)もあります。
そして見落としがちなのが、時給の上昇が130万円の壁との距離を縮めることです。年収130万円に達する週の労働時間は「130万円 ÷ 52週 ÷ 時給」。時給1,023円なら週24.4時間ですが、東京の1,226円なら週20.4時間——都市部では「130万円の壁」と「週20時間の壁」がほぼ同じ位置に並びます。
時給1,023円 → 週24.4時間/時給1,121円 → 週22.3時間/時給1,226円 → 週20.4時間
時給が上がるほど「扶養内」でいられる時間は短くなります。昨年と同じシフトのままだと、時給改定で気づかず130万円を超えることも。
【試算ツール】時給と週の時間を入れるだけ|10月からのあなた
時給・週の労働時間・勤務先の規模を入れると、10月以降の社会保険の扱いと年収・手取りの目安を試算します。10月の時給改定が決まったら、新しい時給を入れて再確認してください。
※年収=時給×週時間×52週の概算(賞与・交通費除く)。社会保険料は本人負担分を給与の約15%として概算しています。実際の判定は所定労働時間・契約内容によります。詳細は扶養の壁シミュレーターでも試算できます。
手取りで損しないための考え方
- 週20時間の少し手前で迷うなら:社会保険に入ると保険料(給与の約15%)で手取りは一時減りますが、厚生年金で将来の年金が増え、傷病手当金・出産手当金も付きます。保険料は会社と折半です。
- 逆転ラインの目安は年収150〜160万円:中途半端に抑えるより、そこまで働けば手取りは加入前を上回ります。時給1,121円なら週26時間前後です。
- 「年収でシフトを組む」のをやめる:10月からの境目は時間です。年末に慌てて出勤を減らす従来の調整は、51人以上の企業では意味がなくなります。
- 50人以下の企業で扶養内を守りたい人:時給改定後に「130万円 ÷ 52 ÷ 新時給」で週の上限時間を計算し直しましょう。2026年4月からは労働契約ベースの判定なので、契約時間の見直しは勤務先への相談が近道です(健康保険の扶養の条件)。
- 「手取りが減る」を会社側の負担で緩和できる制度が同時に始まる:2026年10月1日から「保険料調整制度」が開始。従業員50人以下の勤め先で新たに社会保険に入る標準報酬月額12.6万円以下の短時間労働者について、会社が本人負担分の一部を追加で負担し、手取りの急減を最大3年間やわらげられます。会社の追加負担分は全額が制度側で支援されます[厚生労働省]。使うかどうかは勤め先しだいなので、対象になりそうな人は働く側から会社に確認してよい制度です(対象条件と聞き方は保険料調整制度の解説へ)。
まとめ
- 2026年度の最低賃金は全国加重平均1,177円(+56円)、最高は東京1,280円。発効は10月1日〜12月2日に都道府県ごとに順次
- 10月1日に106万円の壁(月8.8万円の賃金要件)は撤廃。51人以上の勤務先では週20時間以上かどうかで社会保険加入が決まる
- 130万円の扶養の壁は残る。時給が上がるほど130万円に達する週の時間は短くなる(時給1,226円なら週20.4時間)
- 社会保険に入るなら年収150〜160万円まで働けば手取りは加入前を上回る
- 50人以下の勤務先で扶養内を守る人は「130万円÷52÷新時給」で週の上限時間を計算し直す
出典:厚生労働省 中央最低賃金審議会/厚生労働省 社会保険の加入対象の拡大について/日本年金機構 短時間労働者に対する適用拡大/政府の最低賃金目標(2030年代前半のできる限り早期に全国平均1,500円)は「経済財政運営と改革の基本方針2026(骨太の方針)」ほかによる[日本経済新聞]。/厚生労働省 令和8年度地域別最低賃金額改定の目安について。/厚生労働省「全ての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されました」(2026年9月3日)・別紙「令和8年度 地域別最低賃金 答申状況」。(2026年9月5日時点)。答申額は異議申出の手続きを経て各都道府県労働局長が決定します。本記事は一般的な情報提供であり、個別の判断は勤務先・年金事務所・専門家にご確認ください。
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