個人事業主から会社員に戻るガイド|廃業の手続き・税金・保険を総整理

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個人事業主から会社員に戻るガイド|廃業の手続き・税金・保険を総整理

フリーランスをやめて就職する——独立とは逆方向の「出戻り」にも、やるべき手続きが意外とたくさんあります。廃業の届出は期限つきが5種類、社会保険は会社任せでよい部分と自分でやらないと二重払いになる部分があり、そして就職した年の確定申告は年末調整だけでは終わりません。この記事では、個人事業主から会社員に戻るときの手続き・税金・社会保険・共済の出口までを、時系列でまるごと整理します。

先に結論。
・税務署への廃業届は廃業から1か月以内。青色申告の取りやめ・消費税・インボイスの届出も忘れずに
・健康保険・厚生年金は入社時に会社が手続き。ただし国民健康保険の脱退だけは自分で14日以内
・就職した年は給与+事業の両方があるので確定申告が必要。「事業税の見込控除」など廃業年ならではの節税も

全体の流れ|時系列でみる「やることリスト」

  1. 廃業日を決める——切りのよい日(入社前日や月末)に。各届出の起点になる日付です
  2. 税務署・都道府県税事務所へ届出——廃業届ほか、該当するものを提出(次の章の一覧参照)
  3. 入社:社会保険は会社経由で加入——健康保険・厚生年金の手続きは会社が実施
  4. 国民健康保険の脱退手続き——会社の保険証(資格確認書・マイナ保険証の資格情報)が使えるようになったら、市区町村で自分で脱退
  5. 共済・iDeCoの手続き——小規模企業共済の共済金請求、iDeCoの種別変更など
  6. 翌年2〜3月:最後の確定申告——給与所得+事業所得を合算して申告

税務署・都道府県への届出一覧

届出書提出先・期限対象
個人事業の開業・廃業等届出書(廃業届)税務署へ廃業から1か月以内[国税庁 A1-5]全員
青色申告の取りやめ届出書税務署へ翌年3月15日まで青色申告をしていた人
事業廃止届出書(消費税)税務署へ速やかに消費税の課税事業者
適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書税務署へ。翌課税期間の初日から起算して15日前までに出すと翌課税期間から取消し[国税庁 D1-70]インボイス登録者
給与支払事務所等の廃止届出書税務署へ1か月以内従業員や専従者に給与を払っていた人
事業廃止の申告(個人事業税)都道府県税事務所へ(10日以内など自治体で異なる個人事業税の対象業種の人

※廃業届などは e-Tax でも提出できます。提出しないままでも罰則はありませんが、税務署から申告のお尋ねが届き続けるなど後々面倒になるため、まとめて出してしまいましょう。

社会保険の切り替え|自分でやるのは「国保の脱退」だけ

就職すると、健康保険(会社の健保)と厚生年金の加入手続きは会社がやってくれます。国民年金も第1号→第2号被保険者へ自動的に切り替わるため、原則手続き不要です。

国民健康保険の脱退は自動ではない!二重払いに注意

会社の健康保険に入っても、国民健康保険は自動では脱退になりません。加入から14日以内を目安に、市区町村の窓口やオンラインで自分で脱退の届出をしてください(新旧の保険の資格情報が必要)。忘れると国保の保険料の請求が続きます。払いすぎた分は後から還付されますが、手間を考えると早めが一番です。

また、国民年金基金・付加年金に入っていた人は資格喪失になります(厚生年金に加入するため)。妻や夫を扶養に入れる場合は、入社時に会社経由で被扶養者(異動)届を。健康保険の扶養の条件もあわせて確認してください。

最後の確定申告|年末調整だけでは終わらない

就職した年は、1月〜廃業日までの事業所得入社後の給与所得の両方があります。会社の年末調整で処理されるのは給与だけなので、翌年2〜3月に自分で確定申告して合算します(青色申告の65万円控除も、要件を満たせば最後の年まで使えます)。

廃業年ならではの3つのポイント

個人事業税の「見込控除」——翌年に納める事業税を待たず、廃業年の見込額をその年の必要経費にできる特例があります(対象業種の人。都道府県税事務所への廃業申告とセットで)。②廃業後に払った経費も計上できる——廃業後に発生した事務所の原状回復費など、事業に関する支出は「事業を廃止した場合の必要経費の特例」で経費にできる場合があります。③予定納税していた人は減額申請——廃業で所得が減るなら、予定納税の減額申請で前払いを減らせます。

在庫や事業用の資産が残った場合は要注意です。売却すれば収入自分用に転用(家事転用)した商品在庫は自家消費として収入計上が必要になります。パソコンなどの減価償却資産をそのまま私物にする分には課税されませんが、帳簿上の整理(除却・転用の記録)はしておきましょう。

共済・iDeCoの出口|小規模企業共済は「廃業」が一番おいしい

制度会社員に戻るときの扱い
小規模企業共済廃業なら「共済金A」として受け取れる(最も有利な事由)。一括受取りは退職所得扱いで税負担が軽い。任意解約(元本割れリスク・一時所得)より断然有利なので、必ず「廃業」で請求[国税庁]
経営セーフティ共済解約手当金(40か月以上で掛金100%)を受け取れるが、解約手当金は収入として課税される。廃業年は事業所得が膨らむ点に注意
iDeCoやめる必要なし。被保険者種別の変更届を出して継続(掛金の上限は勤務先の企業年金の有無で変わる)。受け取り時の順番の話は将来の退職金との兼ね合いで重要
国保組合・任意の共済文芸美術国保などの国保組合に入っていた人は、組合側の脱退手続きも忘れずに

そもそも「廃業しない」選択肢もある

会社が副業を認めているなら、事業を廃業せず副業として続ける手もあります。青色申告の権利を維持でき、開業届を出し直す手間もありません。ただし、収入規模が小さくなると事業所得ではなく雑所得と扱われる可能性があること(帳簿の保存が分かれ目)、給与以外の所得が年20万円を超えると確定申告が必要なことは押さえておきましょう。詳しくは副業の確定申告副業の経費の考え方をご覧ください。

失業保険はもらえない

個人事業主は雇用保険に入っていないため、廃業しても失業給付はありません(会社員時代の受給資格も通常は消滅しています)。「廃業→就職活動」の生活費は自前で見込んでおく必要があります。

まとめ

届出廃業届は1か月以内。青色取りやめ・消費税・インボイス・事業税も
社会保険健保・厚生年金は会社任せ。国保の脱退だけ自分で14日以内
確定申告就職した年は給与+事業を合算して自分で申告
節税事業税の見込控除・廃業後経費の特例・予定納税の減額申請
共済小規模企業共済は「廃業」で共済金A(退職所得)。iDeCoは種別変更で継続
別の道副業として続けるなら廃業不要。ただし雑所得化と20万円ルールに注意

よくある質問

廃業届を出さないとどうなりますか?

罰則はありませんが、税務署では事業が続いているものとして扱われ、確定申告のお知らせが届き続けたり、後から状況を説明する手間が生じたりします。廃業から1か月以内の提出が原則なので、青色申告の取りやめ届などとまとめて出すのがおすすめです。

就職した年の確定申告は必要ですか?

原則必要です。1月から廃業日までの事業所得と入社後の給与所得の両方があり、会社の年末調整では事業分を処理できません。翌年2〜3月に合算して確定申告します。青色申告の特別控除も要件を満たせば最後の年まで適用できます。

国民健康保険は自動で切り替わりますか?

切り替わりません。会社の健康保険への加入手続きは会社がしますが、国民健康保険の脱退は自分で市区町村に届け出る必要があります(14日以内が目安)。忘れると保険料の請求が続き、二重払い状態になります(払いすぎは還付可能)。

小規模企業共済はどうするのが得ですか?

廃業を事由に「共済金A」で請求するのが最も有利です。一括受取りは退職所得扱いで税負担が軽くなります。任意解約にすると納付期間によっては元本割れし、税制上も不利になるため、必ず廃業の証明(廃業届の控えなど)を添えて共済金として請求しましょう。

廃業せずに副業として続けてもいいですか?

会社が副業を認めていれば可能で、青色申告の権利も維持できます。ただし収入が小さく帳簿もない場合は雑所得と扱われる可能性があり、給与以外の所得が年20万円を超えると確定申告が必要です。勤務先の就業規則の確認もお忘れなく。

参考リンク(出典)

本記事は次の公的資料をもとに作成しています(2026年7月時点)。手続きの詳細・様式は各公式でご確認ください。

※本記事は一般的な情報提供であり、税務・社会保険手続きの助言ではありません。個別のご判断は、税務署・市区町村・年金事務所・税理士等にご確認ください。

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公開日:2026年07月14日 / 執筆:みんなの税金 編集部

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本記事は税制・各種制度に関する一般的な情報提供を目的としたもので、税務上の助言ではありません。記載内容は公開時点の情報に基づき正確性に努めていますが、制度は改正される場合があります。実際のお手続き・個別のご判断は、国税庁・お住まいの税務署・税理士等の専門家にご確認ください。運営者情報・免責事項